リスニング能力と集中力の度合いは非常に深く関わりあっているのではないか、いっぱしの英語学習者として基本的にどうやったら英語を向上させることができるかを考えているときに、このように思い当たりました。

 

それはある日、ランニングをしていたときのこと。オーストラリアで体重が極端に増えてしまわないように少しは体を動かそうとランニングをしていると、ふとあることに気がつきました。聴いている曲の歌詞が全然聞き取れない、ということです。

 

家にいるとき以外は基本的に音楽を聴いている私ですが、歩いて駅に向かっているときや電車移動中は聞き取れる曲の歌詞も、ランニング中だとリスニングの精度が落ちてしまっていたのです。

 

 

 

思い返せば、同じようなことは色々な箇所で起こっていました。英語学習に必死に取り組んだこともあってか、海外のテレビドラマなどは字幕なしでもそれ相応には聞き取れるようになってきましたが、レストランで働いているときやスポーツをしているときなど、何か他のことをしながらだと英語の聞き取り能力が落ちるような気がしていました。

 

確かにレストランでは「接待に聞き取らなければいけない」との思いから、プレッシャーがかかってしまうことも原因の1つかもしれません。しかし根本は、「何かをしながらだとリスニング能力が落ちるという」ところにあります。

 

 

 

他の皆さんも同じような経験があるかと思います。例えばカフェで友達と話している時だと割と英語が聞き取れるし、建設的な会話ができるのに、どこか目的地に向かうために歩きながら会話をしていると途端に聞き取らなくなったり、会話の質(内容?)がとても稚拙になってしまったりしませんか。

 

 

 

1人1人個人差が多分にあるとは言え、「人は自分の持てる限りの集中力を必要な項目に分配しながら生活している」と思います。何かをしながらのリスニングでは、リスニングに割く集中力の割合が下がってしまうため、このようなことが起こってしまうと思うのです。

 

会話を1つ取ってもそうではないでしょうか。日本語で会話するときには、聞き取ることになどほとんど集中力を割いてはおらず、どのような返事をしようか、会話をどのような方向に進めようかなどに多くの集中力を割けているから、会話が単調にならず、会話が弾むのではないかと思います。

 

しかし英語だとそちらまであまり気が回らず、英語を聞き取ることに集中力の大半を割いてしまっているから、会話が広がらず、単調になってしまう気がします。

 

絶対的なリスニング力が向上しているかどうかはさておき、もし何かをしながらのリスニング力が向上したならば、それも立派に「リスニング力が向上した」と言ってもいいのではないでしょうか。

 

 

 

このような状況を改善するために、個人的にオススメなのが、ウォーキングやジョギングをしながらのリスニングトレーニングです。ジョギングやランニングをするときに音楽を聴いている人もたくさんいると思いますが、たいていの人は音楽を聴いているのではなく、音楽が流れているだけだと思います。実際に歌詞を聞き取ろうと思うと家や電車移動中などと比べ物にならないくらい難しいことに気づかされると思います。

 

「リスニング以外のことにある程度負荷がかかった状態でリスニングにも気を向ける」、このような訓練をすることによって、リスニングに割く集中力の程度を下げる、もしくは何か他のことをやっているときにある程度自然にリスニングにも集中力を割く脳を作れるのではないでしょうか。

 

私は脳科学者でも言語学者でもないので、科学的な、学術的な効果は全く持って実証できませんが、少なくとも「何かをしながらだとリスニング能力が落ちる」ことは身を持って感じています。あまり集中力を割かずとも自然にリスニングができるようになることは、英語が堪能な人々、ネイティブスピーカーと行動を共にするにあたって大前提と言っても過言ではありません。

 

少なくともこのような現象を自覚し、自分なりのながらリスニング能力の向上を見つけて、英語学習に励んでみてはいかがでしょうか。