翔「松岡医師はどう口説いたのでしょう?」


松「...ふふ...。智が移植を拒否しているのは、全て君を想ってだ。

自分の為に君に何かがあったら嫌だからな。

で、松岡先生は...言ったんだよ

もし手術が上手くいかなくても死ぬのは智だけで君は寧ろ健康的になれるんだよ、って」


翔「なるほど...。でも、良かった...受けてくれは気になって」


松「ああ。...改めて...ありがとう、櫻井君」


翔「頭を上げて下さい。

俺の方こそ...感謝してます...。

松岡さんには悪いけど...“俺が“智君を助けます(笑)」


松「(笑)。おう!頼むぞ!

俺だって、アイツと合うなら目ん玉でもなんでもくれてやるんだが...それは出来ないから、せめて近くで見守るのは許してくれ。

絶対に出過ぎた事はしないからよ...

ところで...無事に手術が成功して普通の生活が戻ってきた時...君は...どうするつもりだ?」


翔「ずっと...一緒にいます...。

倫理とか世間体とか...そういうの、俺、いらないんで」


松「まぁ...兄弟が一緒にいるのはおかしな事じゃねぇからな...」


翔「ええ(笑)堂々としています」


松「...あの、よ...。俺は恋愛に何の偏見もねぇんだが...その...立場上、やり難い事も出てくるだろう?どうするんだ...?」


翔「俺は...智君が選ぶ道を一緒に歩いていきます。智君は静かに暮らしたいと言うだろうから...敢えて公表はしません...同性の恋愛に世間は寛容になりましたが、それは他人同士の話。

俺達のように血の繋がりを持つ場合、受け入れてもらえないでしょうから...。

立場のご心配は無用です。

社員の生活...命をちゃんと守る自信はありますから(笑)

智君が笑って毎日を過ごせるように...頑張ります」


松「10点だな」


翔「10点?!」


松「智は君が思っているより逞しいぞ?君に守ってもらうばかりは嫌がるぜ?二人で...頑張れ...。

お前らには俺達が...ついてる」


翔「...はい...ありがとうございます...」


松「じゃあ...後でな...」


翔「はい...。あ...これを...智君に...」




俺は...一枚の写真を松兄に預けた。