智「この後...どうする?どこか行く?」

翔「うん。こんな良い天気だし折角だから出かけよう?行きたい所とかない?」

智「行きたい所...?、ん〜...そうだなぁ...。
どこでもいいの??遠くでも?」

翔「いいよ?車が良かったら取りに戻るし」

智「電車の方がいいかな...」



⭐︎


翔「ここは?」

智「...うん...、母ちゃんがいる所。
ごめんね、いきなりこんな所連れてきて...。
母ちゃん...翔君と翔君のお母さんに会いたかったんだ...翔君のお母さんは無理だから...せめて翔君とは会わせてあげたくて...」

翔「...智君、ありがとう。
お袋も日本にいたら『是非に』と言うと思う
お花とかお線香とかあった方がよくない?」

智「...大丈夫......お花とか全部、揃っていて...何も要らないんだよ」


⭐︎


ばあちゃんのお骨はずっとあのアパートに置いたままだった。
母ちゃんには、ばあちゃんをどうする事も出来なかったんだと思う...松兄は、母ちゃんとばあちゃんを一緒の納骨堂に納めてくれた(松兄いわく、高級集合住宅に住んでいるらしい)

松兄は入るお墓があるけど
母ちゃんとばあちゃんには、お墓がない。
俺は世間知らずで永代供養とか知らなかったから二人のお骨を並べて置いておけばいい、位にしか思ってなかったんだ

翔「智君...お母さんの写真とか、ないの?」

智「遺影?ってゆうやつ?」

翔「いや...普段のとか...」

智「ないんだよね...、写真嫌いな人でさ...『魂、抜き取られる』とか言って(笑)
ほんと、ないの。俺の写真は沢山撮ってたのにね」

翔「そっか...どんなお母さんか見てみたかったんだ。智君と似てる?」

智「ん〜...どうだろう?丸顔は一緒かな(笑)」




小さな位牌に翔君を紹介しておいた。
この際だから母ちゃんだけじゃなく、ばあちゃんにも


この人が、俺の...恋人だよ、と。

俺の隣で手を合わしてくれている翔君の口元が小さく動いた

『初めまして...智君とお付き合いさせていただきます、櫻井翔です...』

まだ、何か言っていたけど...その先は聞こえなかった...

だって...

泣きそうになるのを我慢するので精一杯だったから...