月だけが見ていた。
誰もいない道をただひたすら歩く僕を見守るように。
何をするわけでもなく。
ただただ前を向いて歩いていく僕を見ていた。
ふと何気なく空を見上げてみると。
夜が力尽きて少しずつ闇を手放していった。
押し潰されてしまいそうな夜は突然終わりを告げて。
空には光がこぼれだし、僕の元にも朝が訪れた。
星の光はもう見えなくなっていて。
明け方の白い月だけが空に残っていた。
月が残った空を見上げながら僕はただ一人で。
少しずつ空が明るくなっていく中を歩いた。
まるでこの世界には月と僕だけしか存在しないような。
そんな不思議な感覚に陥ってしまいそうになった。