2024年-令和6年7月15日 シネ・ヌーヴォ


昭和28年作品


新東宝特集、本作品は8年9月に録画、12年12月も録画で観ていて、2度目の時に傑作だと認識しました。

当時、千住の火力発電所の4本の煙突は3本にも、2本にも、1本にも見えると言う“お化け煙突”と言う事で東京に住んでいなくても有名だった。

見る角度によって変化する本数は、人を見る時もそうで、同一人物も色んな表情、性格がある事と重なってくる。

それと、ある経緯が有って新婚夫婦の家に赤ちゃんが舞い込んで来るのですが、これが夫婦関係を危うくもしたり、逆に親密にしたりと複雑な展開と成っていきます。

新婚夫婦は、ありえない他人の赤ちゃんを世話する事で、今まで見えなかった能力を発揮することで相手の知らなかった面が見えてきます。

人って、他人をどう判断しているかって、そんなに単純では無いけど、本作品は日常のメロドラマの中に複雑な人の有り様を魅せてくれました。作品には表面的な生き方をしているエピソードも描かれているから興味深い。


追記、監督は五所平之助、メインと成る4人の俳優の魅力を見事に引き出しているのも見逃せない。

田中絹代と上原謙、高峰秀子と芥川比呂志。