2024年-令和6年6月15日 大阪ステーションシティシネマ スクリーン8


昭和25年作品


午前十時の映画祭14、本作品は今年2月に劇場で初めて観ています。戦後の小津安二郎監督作品は全て観たと思っていましたが、勘違いで本作品が抜けていました。その時、私の知る小津監督の雰囲気と違い過ぎて、違和感が有ったので、今回確認の意味で劇場へ足を運びました。

さて再見、何処に違和感を感じるのかを冷静にチェックしました。小津作品では姉妹喧嘩や思った事を口に出したり、病気に罹っている人は登場しませんが、本作品では描かれています。それと小津監督は極力雨のシーンは描いていませんが、唯一「浮草」(1959)の中で超見せ場のシーンとして雨を効果的に使っています。本作品の雨のシーンも重要な場面で使われています。それから決定的に違うのが三村亮助(山村聡)と節子(田中絹代)は夫婦なのですが、訳が有って夫は絶えず不機嫌で、妻は夫を支えようと健気に振る舞っています。通常、小津作品では夫婦と言えども、実はお互いが心底から理解しあえて無くて、ある出来事がきっかけで初めて、その凄さ、つまり愛の大きさに気付かされる描き方をしていますが、本作品はそれが、分かった時はもう、、、

強烈な描き方をしていました。4カ月前に観た時は違和感ばかり気になって理解出来ていませんでしたが、通常とは違う描き方ですが、渾身のメッセージが込められた大切な作品だと認識しました。


追記、映画の公開は昭和25年8月、敗戦後5年目のロケ撮影で東京、京都、奈良そして神戸を訪れていますが意識的に戦争の傷跡を感じさせ無い撮り方に驚きます!