36・己亥

 

第三グループの最後は己亥です。

前回の戊戌で取り上げたように、戌と亥は12支の中でも異質な動きをする干支と位置付けています。

 

 

前にも書きましたが、通常4勢(季節の始め)は初元に土性が来て、前の季節の終りの土性を引き継ぐ形をとります。

 

ところが冬の始めの亥だけは、初元が空洞になっていて独立した形で冬が始まっています。

諸説あるところですが、戌亥の独自性を語る、一つの根拠としてもいいように思っています。

 

独自性とは、既存に組せずに自分の能力を発揮して、自分が納得する道を行くことです。アウトサイダーとして生きるのですが、周囲にそれを肯定させて新しい道を開く人になる可能性を持っています。

常識社会の中では異色、異端になることもあります。

 

身体に霊性が宿るといわれている「亥」。

己亥もそうですが、異常干支が多いのも「亥」の特徴です。

 

『身体が一種の霊感を持っている。体操、スポーツの世界で見事な技術を発揮できる。反射神経が鋭いなど、他の人が出来ないことが出来る』

 

己亥の異常干支の説明でも身体霊感について書かれています。

これには注意書きもあります。

『わけのわからない行動をとることも』

 

それほど顕著に運動神経がいいとは限らないのですが、どこか「普通ではない」という印象をあたえることも確かでしょう。

 

古典では「修道に専念するブタ」というネーミング。

「亥」は中国ではブタのことです。

これは芸を身に着けるという意味を比喩したもので、一芸発揮に努力することで道が開けるとしています。


・自分が求めるものを手にすることが人生の目的。
・物質的な豊かさよりは、能力発揮や名を成すことが大事。
・自分が目指した分野で野心を達成する。
・修道に専念するがごとくの努力が必要。
・信頼できる誠実な人という評価を得ると成功を手にできる。

 

最後に「信頼できる誠実な人という評価を得ると成功」と但し書きがあるのは、そうした評価を得にくい難しさをもっているという意味でもあります。