辛卯は、庚寅とは陰陽の違いだけで、座下を激剋する禄存星もエネルギーの天馳星も同じ。それでいながら、干支の働きも干支が示す性格も、まったく違っている。

 

『性格は明るく、内面には研ぎ澄まされたデリケートさがある。情に厚く、情に流されやすい』

 

『大変なお人好し。心優しくおだやか、愛情にあふれた人。だれにでも親切。人を惹きつける魅力もあるので人から慕われる』

 

ちなみに、庚寅では『思考力や人生観も偏るので、足りない部分は相当の努力で補わないと、人徳の形成が難しくなる』となる。

 

刀と宝石の違い、トラとウサギの違いといえばそうなのだろうが、構造的にはほぼ同じなのに、解釈は大きく異なる。

 

庚・陽金性。主に武器を意味する。意志の強さ、精神的な強さがある。少々の事では落ち込まない。徹底的に戦うパワーがある。融通が利かず、加減が苦手。攻撃的で敵を作りやすい。人の意見を聞かない。自分をコントロールできれば大成も。

 

辛・陰金性。宝石など宝物すべてを含む。耐久力があり頑固でもある。ただ協調性には欠ける面がある。美的センスがあり、多くの人を魅了。敏感でデリケート。感受性が鋭い。神経が細かいので重宝されるが、ストレスを溜め込む。プライドが高い。

 

金性の陰陽の違いはそれなりで、大きな違いというほどではないが、武器と宝石という区分は象徴的で同じ闘争本能を持つ空間でも陰陽の違いは出ている。

「融通が利かず、徹底的に、加減が苦手」という部分は庚寅の干支意味の中にも含まれてくる。

 

暦術や占いで十干十二支が庶民にも伝わるようになった時に、当時の知識階級と庶民の知的レベルには格段の差があって、専門語で表記されていた12支はなじみやすい動物に変えて、十干も身近な自然や物で説明されたといわれている。

 

現代での武器や宝石のイメージとはやや離れた感覚もあるので、12支の動物も含めてそのものの性質とは単純に同一視しない方がいいかもしれない。

 

寅・独立心が旺盛で、単独行動をとり仲間意識は薄い。いったん言い出したことは、絶対あとに引かない強引さがある。竹を割ったような気性。勇敢に難関を突破するたのもしさがある。多くの障害や困難を切り抜けて本当の成功を手にする。暖かい家庭環境に育つを吉とする。精神的苦労が多いと、運、不運の差が激しく「孤愁の命」と名付ける。

 

卯・協調協和の意味を持ち組織にあって美となす。従順で温和、物静かにみえるが、内面は神経質で気は小さい。敵を作ることを嫌い、周囲の人を味方に引き入れようとする。物静かな外交手腕。研究心が旺盛でどんなことにも適応できる才能がある。まとめ上手。恵まれると気持ちが緩む。逆境に弱い。経済関係やモラルにも疎い。柔軟性があり器用だが、かえって迷いが出る。誘惑にも弱く、落とし穴にはまる。

 

波乱を感じさせるトラの説明と温和で協調性のある卯の説明はそのまま二つの干支意味にも反映している。

 

もうひとつは庚寅の禄存星は陽木性甲から生まれ、内面の感情が表に出るストレートさがあるのに対して、辛卯は陰木性乙からの禄存星になり、環境を意識し、相手に応じた愛情が表出する。

このあたりの違いも干支意味に含まれているようだ。

 

同じ構造をもっていても、干と支の違いが鮮明に出ているケースになる。

 

古典の辛卯では環境への適応力と仕事能力の高さが語られている。

・仕事で成功することを第一義とする。
・環境への適応力がある。
・後輩に恵まれて後押ししてもらえる。
・バイタリティーと行動力がある。

 

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