丁丑で天庫星を説明した時に、『この星は右か左かどちらかに方向を定めなければ収まらない心理作用を持っています。どちらかを選ぶということが役割なのです』と書いた。

 

これが教科書の天庫星の説明なのだが、人間の死後のエネルギー(肉体のない世界を作るエネルギー)に関して、魂を生きるという言い方を思いついたが、これをすべての死後のエネルギーにあてはめてみると、一連のこの流れは魂の輪廻転生の姿ではないかと思えてきた。

 

天報星は生を受けた環境で自分を作る魂はハイスピードで選別し融合していく。

ここから生命がある限り、気は融合という形をとり維持していく。

天胡星の病人はその融合力が弱まり、一部が勝手に外へと飛翔して行くが居場所はまだ肉体にあって、戻るという形が融合作用の名残りのようにある。

 

人生とは、様々な魂(気)が融合しながら形を作っていく姿と解釈できるが、現実をそうした側面から眺めてみると、人生も現実も、まったく違った表情を作ることになる。算命学のおもしろさは、そんなところにもあると思う。

 

天極星では融合作用は終わり、これから分散へと向かっていくが、まだ肉体(死体)のなかにとどまっているので、現実的な自由はない。

 

そして天庫星になって、肉体を脱した魂は墓の中に入る。

ここでは現実(肉体・骨)は土に還り魂は墓の中で作業をする。

 

ここで完全に肉体(現実)とは切り離されることになり、霊魂は分裂して各々の世界が無数にできる。

 

融合と分裂(天極星・天庫星・天馳星)そして再融合(天報星)が輪廻転生の姿だとすると、前世英国の王女だったとか、江戸の花魁であったとか、霊能者が語る前世の姿は魂の一部、再融合された故の様々な気の記憶のことで、今生の魂がそのまま次の時代を生きることはないことになる。

 

ただ融合は無意味に偶発的に起こるわけではなく、そこには自然(必然)の法則のようなものがあって、その法則にのっとって、天庫星は次世代の魂を選別しているのかもしれない。

 

 

天庫星は現実世界をもたないために、現実世界では、自分で墓を作り、その世界内で生きることになる。

自分の墓穴の中での作業は次のように語られている。

 

『物事の分析や分類など異質なものが一体となっているものを解きほぐし、一つ一つの真の姿をとらえる能力となるのです』

 

その作業は現実からは遊離し、次世代に残すにふさわしい「気」を厳密な基準で選別しているようにみえる。

 

作業は入魂という言葉がふさわしい。一つの物事を考えればその世界の中にずっととどまっている。これが凝り性の星とよばれるゆえん。

それが天庫星の現実の作り方で、外から見れば、現実とは無関係に自分の世界を生きているように見える。

 

その選んだ道をひた走るのが天庫星と呼ばれる星のエネルギーのあり方。

 

『自分で決定した道ならば、たとえそれが地獄であっても行き、他人が天国の道を作ってくれたとしても、そちらにはいかないのです』

 

極端ないい方だが、教科書にはこう書かれている。

そうした傾向は確かにあるが、それは一技一学を極める姿でもない。

分裂した気の意味は、そこに相互の関連性を持たずに、独立した世界をいくつも持てるところにある。

 

天庫星というと専門分野の達人を思わせるが、その内側には、いくつもの専門領域が交わることなく乱立しているイメージがある。

 

融合ではなく分裂に向かう気という特性は、天庫星が作る人生の中でも特徴ある姿を創ることになる。

言葉にすれば、コングロマリット的な。トータリティーなき多芸多才。

 

『天庫星はとにかく古いものが好きで、物凄い探求心を持っています。そして思考法も実に古典的です』

 

これもいえることで、趣味で歴史小説好きとかの天庫星はよくみかける。

ただこれは単に古いものが好きということではなく、1気を吟味していく過程で、その気が歩んできた「歴史」を遡っているのではと想像する。

 

そこに存在するものが、ある連続性の上にあるということを本能的に知っていて、それを解き明かすことが一つの存在証明となり、そこに気を選別する職人の役割があると思われる。

 

輪廻転生とは終りの見えない気の歴史のことだろう。

 

輪廻させるべく気を吟味すると考えれば、おろそかな選定はできない。

そうして墓内の作業に熱中する様は、現実社会とは遊離した自分だけの世界で生きて行く人を作る。

 

 

もう一つ、天庫星には「墓守、長男の星」という意味も語られているが、これは古来よりの言い伝え的なニュアンスがある。

 

『古来より「入墓の星」「墓を守る星」と云い伝えられてきたわけです。墓を守る役割は東洋人の慣例として長男の仕事であったために、墓守が転じて「長男の星」という意味になったようです』と、云い伝えとして曖昧な伝聞形で書かれている。

 

墓守の意味も薄くなった現代では、天庫星の特徴として、特に強調することもないように思う。

 

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