18番辛巳。精神空間は変化の庚を受けて、それを固める役割。

 

『万物の辛生を辛と云う、辛新なるもの皆収成する、辛は陰の始成なり』

 

辛の字は同音の「新」につながり、植物が枯れて新しい世代が生まれようとする状態だが、枯れて朽ちるわけではなく、陰転させた庚が、新しい実をつける様子を示す。

 

字源的には刃物のようなものを意味するといわれ、その真偽は定かではないが、庚を刀とする算命比喩もあって、表の上品さの裏にどこか尖ったイメージと金属質特有の怜悧さがあることは否めない所。

それらは観察眼の鋭さや、的確な状況把握を生むという能力にもなる。

 

またその刃物は果実を作る時の道具にもなって、繊細な神経とこだわりのある取り組みによって、何をやってもそれなり以上にはこなし、職人的技量を身につける本性を持っている。

 

関心を持った事に打ち込む姿には、天庫星のように点的集中力を見せる。

一つの思考から次の思考へ移行する時、連続性・連結性・関連性がないように瞬間瞬間の思考をする人にみられる。まるで気まぐれな貴婦人のごとく。

その時の1点の中に、辛の役割と能力が凝縮される。

 

横広がりが難しい意味があって、独自の社交力はあっても協調性はない。

 

辛は宝石と比喩されるだけあって、美的センスがあり、敏感でデリケート、感受性が鋭い。万能タイプで、細かい気遣いもできて重宝されるが、本人は笑顔の下でストレスを溜め込むことが多い。傷つきやすい繊細さがある。

 

 

天干に辛が載る6干支。大きく3つのグループに分けられる。

左は禄存星が共通で、辛の力は人の役に立つ方向で発揮される。

 

真ん中は貫索星共通で、辛の性向が精神にも現実にも表れて、協調性の薄い尖った辛としてその人自身が辛的空間で現実を作る人になる。自己本位の現実構築型。

 

最後の二つの辛は、主観星から成り、辛の持つ精神的な意味(美的センス、繊細さ、強い意志、職人的技量)というところで辛が発揮される。

 

辛巳と辛亥は辛の育ちや自己形成によって人生も大きく変わってくる変化値があり、辛の中でもわかりにくい干支になっている。

 

辛を支える巳もまた、似たように複雑な性向がある。

巳は『巳は「正陽にして無陰」といい、象形は蛇とし胎児(陽の極み、生命力)
の象徴とします』となっている。

 

巳は蔵干は3つとも陽干で精神性の強い支。

蛇と胎児という象形がこの12支の難しさと悩ましさを語っている。

 

また巳は古典では「大駅(人集まり道路通達の地)」という意味があって、いつの間にか周囲に人が集まってくるという運気を持っている。

これは辰巳午という流れの中で水庫(辰)と午(馬)の中間にあって、水を求める馬が立ち寄る中間点というところから来ているようだ。

 

また巳自身も陽の気が強く、明るく、人の集まるところを好む傾向がある。

ただし、辛同様に表身と中身の違いは鮮明で、明るく社交家に見えても、全部主観星から成る現実は、無意識のうちに身勝手になったり、デリケートであるがゆえに傷つきもし、傷つけもする。

 

辛も巳も似たところがあって、技芸の方面に才能を発揮し、特殊な創作能力を持っている。

用心深いが、いかなる立場でも気おくれなしに、対応できる柔軟性がある。
スピリチュアルなもの神秘的なものを好む傾向がある。という特徴をもっている。

 

辛巳はそれらが重なることによる能力拡大と、性格的やっかいさはあるが、それを天極星(死人エネルギー)がほどよく調和させている。

 

天極星は辛巳のマイナス面を希薄にして、プラス面を浮き立たせる働きをし、辛巳を魅力ある干支にしている。

 

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算命学研究室ホームページ(青龍館)

 

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