天馳星の干支は、どれも日干の死地を座にしていることになる。

春が旺地の甲申は、秋の初めの季節に根を下ろすことはできない。それどころか、本元には木を切る刀が用意されていて、この形だけでも安住のない人生が予想される。

 

またエネルギー自体に精神性が強いので、干支は春と秋という現実の季節が与えられている。

宇宙を飛翔するエネルギーで現実を生きれば、現実の姿は慌ただしく落ち着きのないものになる。

 

『エネルギッシュに駆け回り、「多忙」がキーワードになっている』

『生涯を通して多忙の中で自己形成を行なう』

 

甲申は多忙の中の自己形成が大事。

精神の安定を現実の安定の中に求めると、人生は反転する。

 

甲申の地支の気の流れを見ると、庚→壬剋←戊と中元の龍高星に気が集まる。

龍高星をいかに使うかがこの干支の生き方になる。

 

禄存星剋龍高星は外科医に比喩される大胆な行動力。頭の回転も速い。目の前に患者がいれば、すぐに対処へと動く。外科医の比喩はその時に手段を選ばずに、最善を尽くすところにある。「愛情と理性の区別ができる人」という言われ方もする。

人の役に立ちたいという思いが背景にある。

 

『強いエネルギーの持ち主。時に大胆な行動も起こす』

 

目の前のことだけに注力するので、その時だけ乗り越えればいいという気になったり、他はどうでも良くなるリスクは潜んでいる。後悔の多い干支といえる。

 

本元の車騎星→龍高星は穏やかな環境ではそれほど機能しない。環境が動いているほうが力を発揮する。優れた判断力と行動力が天性として備わっている。

与えられた役割を果たすために知力を発揮し、瞬間に状況を掌握して的確な判断を下すことができる。

 

『現実的行動力が強く、自ら動くことで運をあげる。人脈と行動力が武器になる』

『多芸多才で趣味も豊富、人々の間にうまく溶け込んで、人脈も広がっていく』

 

自ら動くことになるが、自分の欲求を満たすための行動ではない。そのために「人脈」という言葉がキーワードになる。車騎星禄存星は人が前提になる。

 

自分のために動く時は現実欲求ではなく、精神欲求を満たす時。必ず、そうした世界(学問、芸術、趣味などの精神世界)が必要になる。

 

天馳星という現実味を持たないエネルギーでありながら、点的現実をつなげて生きるために、外からは現実的な人にみられる。

 

『精神的な質を表には見せるが、実際は現実行動派』

 

もうひと回転すると、現実行動派にみえても、どこか安住すべく精神世界や趣味を持っているもので、それがないと生きて行けないという意味もある。

 

『一芸に専念出来るかがポイント』

 

これは基軸を現実に置くなということでもある。一芸は職業であればよいが、職業でなくても必要。

現実を生きなければならない時は多芸であっても、現実以外の興味の世界を持つことが大事。

 

『明るく活動的で、しかしながら孤独の心をもっている』

 

これもまたこの干支の必然性のようなもの。

宇宙を飛翔する魂の持つ孤独性であって、満たされたいという願望、寂しい心は孤独には含まれていない。

むしろ孤独を感じられることが安住の証になる。

 

単純に現実を一喜一憂できない難しさを持っている。

 

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算命学研究室ホームページ(青龍館)