37・庚子
通常異常干支『これは実父母にさえ育てられなければ、なんでもありません。つまり養子とか養女にやられたとか、実父母以外の他人が育ててくれたという環境を持つとなんでもありませんが、実父母の愛情の中で育つと虚弱になります。』
 
戊子は同じような環境条件で、精神面で変わった考え方をする人になるというものだったが、庚子は身体が虚弱になるというもの。自己責任ではないので、理不尽な宿命ということになる。
 
過保護とは限らなくても、両親の愛情の中で育つと虚弱体質になるということだが、特にどこがどうなるということはなく、『内臓系などが弱くなる』と書かれている。
 
子は癸一つで、暗合もなく、干支の構造からその要因を探ることはできない。
古典的言い伝えということなのだろうが、そのあたりの信ぴょう性はなんともいえない。
確かに、片親で育つ人が多いという傾向はあると思う。
両親健在で元気という人も多いので、これもまるごと信じることはできない。
 
芸能人の場合、どこまで過保護かは外からはわかりにくいが、例えば、最近北川景子さんと結婚した俳優のDAIGOさん。日干支庚子で生まれている。
 

・父武宣、母まる子が「メレンゲの気持ち」にVTR出演(=09年6月20日放送分)。

・父武宣、母まる子が「誰だって波瀾爆笑」に出演。

 (本人撮影、実家紹介=11年6月12日放送分)。

という記述があるように、ごく普通の家庭以上の育ち方(母系祖父が元総理大臣の竹下登)をしているが、健康で仕事も結婚もしている。

芸能人では、むしろ、虚弱と言われる例を探すことの方が難しい。

 

 

庚子はなぜかプロ野球の選手が多い。それも、野球ファンなら誰もが名前を知っているという名選手ばかり。

芸能人ではないので、生家環境がはっきりはしないが、片親で育っているのは、江夏さんと土井さんの二人。全員が片親ということはないだろう。

少なくとも、庚子に身体虚弱となる素養があるという異常性を否定する根拠の一つにはなると思う。

これまでの異常干支は、異常性は内在するもので、背景によって表れ方が違ってくるというものだった。庚子にとって、内臓が弱いというのは、「赤」にはならない。

 

古典的な庚子の干支解説は次のようなものがある。

 

『比較的高い地位で活躍する運を持っている。一般人と特殊階級の橋渡し的な役割を果たす。』
 
利につながるものをいち早く看過する眼力がある。将来に必要なものを手に入れてそれを上手に活用する。』
 
『デリケートな感性を持ち、頭も良い。美貌にも恵まれる。対人関係で問題が起こりやすいので、注意が必要。また、欲を出したり、傲慢になると運を損ねる。一つのことに打ち込み精進すると本来持っている福徳運が花開く』
 
『器用で弁舌さわやか。表現力に優れ、他人の心理をつかむ能力に長ける。駆け引き上手。きめの細かい心配りが出来る。人生を楽しむ人。趣味娯楽を人生にうまく生かすことが出来る。ゆとりを大切にする。お金に縁はあるが、出入りは安定しない。』
 
『結婚には恵まれないが子供には恵まれる。未婚の母になりやすい。』
 
算命学が採用しているような、異常干支としての干支解説は見られない。
 
日干庚から地支癸へと、自然に気が流れる。
自分を支えるものが安定しない流れる水である事を感じ取って、常に落ち着かない不安心理を抱える。
 
戊子は天報星で動くことができるが、庚子は天極星で環境の影響をそのまま受ける。潜在不安は大きい。
ただ、不安を逆に跳ねのけようと、強気の心を作るのが日干「庚」の強さ。
 
『明るい性格ながら激しい闘争心の持ち主。それをデリケートな感性が支えている。』
 
分かりにくい言い方だが、繊細さを闘争心が糊塗しているというイメージ。
「子」の干支は総じて頭の回転が速い。感情に流されるところを理性で統御する。座下調舒星で情的に見えるが、合理的な考え方をして、案外クールな人が多い。
 
弱さや不安を感じさせる人は少ない。だいたい、強い気持ちを持って、言いたいことをはっきりいう人が多い。
特に日干金性(庚辛)の調舒星は言葉がきついのが特徴。
 
神干五行の金性調舒星は『表現力はある(知性ではなく感性の理論家)。言語や文章による暴力になることも。外面の冷たさと内面の温かさの差が最大。それが二面性、二重人格にみられることもある。』と説かれていて、調舒星の中でも、言葉の強さが特徴になる。
 
算命学の干支解説では、理数的な頭脳と内面の暖かさという二面が書かれている。
『頭脳は明晰。知的な合理性を持ち数理的な思考力を所有しているが、世渡りでは人情が顔を出し、温かい心の持ち主。理性と情性の谷間にて、自己の本質を見失いやすい。』
 
日支本元が調舒星になる干支は、甲午・庚子・乙巳・辛亥の4つ。
精神の不安定さを持つ干支で、庚子、辛亥は異常干支で乙巳は日居天中殺。
甲午は暗合もあって異常干支に準ずる要素は持っている。
 
女性の場合は、その調舒星が子供になるので、子供が生まれると、そこに一気に集中して、夫よりも子供命のようなかかわり方をする。
男性でも、子供好きの人は多い。
 
庚子は天極星エネルギーで動く。
天極星の日干支は、12・乙亥  18・辛巳  31・甲午  37・庚子 の4つ。
天極星は死の直後の世界を表している星で、受け身で環境を受容する生き方をし、「お人好し」と言われている。
 
そこからは強い異常性は見えてこないが、このエネルギーには、現実社会のすべての差異を無にするという働きがある。「死ねば皆同じ。悪人も善人もない」という一次元思考の世界をつくる。それは平らかな考え方ではあるが、どの環境にも染まれる(悪にも善にも染まれる)自由さと、自分独自の価値観を構築できる独善性を持っている。
 
純粋さと紙一重の独断が天極星干支にはある。時には、ルールを無視した行動をあたり前のようにすることがある。
それは同時に、『無の世界から発せられた夢を、一つの型に作り上げていく』という天極星にしかできない能力にもつながる。
またなんらかの霊力を持っていたり、スピリチュアルに関心を持つ人も少なくない。

 

庚子は、言われているような異常性は少ないと思える。不安定さと特殊能力という観点から、例題を観て行こうと思う。