★異常干支⑨
 
24・丁亥-1
暗合系の異常干支。『これが純粋な霊感力です。特別に修行しなくても非常によく当てるという勘を持っています。予測予言みたいなものを持ち、例えば、株の相場などもうまいのです。』と言われている。
また、『当てもの、勝負事とかは強い弱いは別にして、誰が何を持っているかというような勘が非常に冴えるのです。』と具体的に霊感の内容にも触れている。
 
特別な異常条件のようなものはない。
算命学では、丁亥=霊感と定説になっているが、実際に日干丁亥で霊能力を発揮している人はごく少ないように思える(時々見える程度のことはある)。
 
当てもの的な直観力でも、他の要素(異常干支ダブルや生月中殺)が加わるとそうした傾向もみられるが、丁亥単独では普通人が多い。
ただ、「亥」は身体そのものになんらかの霊性が宿っているようだ。
 
 
普通に見えるのは、壬丁暗合の間に甲(玉堂星)が入っていることが一因だろう。
壬→甲→丁という流れができるので、甲がストッパーになる。
暗合相手の壬は、配偶者干でもあるので、結婚願望が生まれやすい干支で、結婚(現実生活)に舞台が設定されることが多い。現実味が増すほど、霊作用は遠くなる。
特に壬に良き配偶者がおさまれば、暗合する理由がなくなる。
 
もう一つは、牽牛星→玉堂星という気の流れ。
陰の金性(牽牛星)は水性(玉堂星・龍高星)に流れ込むと、思考の質を変える働きをする。
龍高星は玉堂星的になり、日常的な現実力が落ちる反面、芸術的なセンスが増し、何かを創造する才能が生まれる。古典や伝統的なものに対する興味や好奇心も強まる。
 
丁亥のように玉堂星に牽牛星が入ると、龍高星色が出てくる。伝統を重んじながらも常に改革の気風を持つようになる。玉堂星に現実味が出てきて、企画や計画の世界で能力を発揮する。
龍高星的な冒険心も生まれるが、用心深い一面もあるため行動力はそれほど出ない。精神世界の学者、教育者等での能力発揮もある。
牽牛星→玉堂星の形は、30・癸巳にもみられる。
 
牽牛星はプライドにもなるが、「情愛は相当に厚くお人好し。自尊心は奥深くにあり、表には表れないので、庶民感覚で誰とでも和を保てる。」と干支占技にはある。人間的な情愛が表に出て、自尊心などはその陰に隠れる。
人情味と天性の庶民性が異常性を隠す役割を果している。
 
もう一つ「亥」という12支は、流れの最後にあって、季節においては立冬にあたり陰の極地。古典では「万物は亥に至って熱を失い寒気に屈服する」といわれる。
極寒の地にあって、助け合うという本能が芽生える。

「亥の文字は人と人が寄り添い子供を抱き喜び合う象(かたち)とする」と算命学でも亥を位置付けている。これはどの「亥」にもいえることだが、家族を大事にする本性がある。これもまた、丁亥を普通の家庭人に見せている一因だろう。

ただ、これまでもみてきたように、無と有の両極を行き来する天報星エネルギーは健在で、無に振れた時に見えない何かを見たり、インスピレーションが生まれることはあって、知的直観力が異常干支としての能力になる。

天報星の行き過ぎも牽牛星玉堂星がブレーキになって、緑の世界でも十分に生きられる安定感を持っている。役割を得て学ぶことが安定の条件にもなる。
 
また、人物では母、目上を意味し、若年時の母との関係が丁に大きな影響を与える。成人後も壬丁の暗合不安定から甲が守っている意味もある。
 
 
松本さんは松平健さんの元妻。結婚して5年、4歳の長男を残して自ら命を絶った。
母縁が強い宿命らしく、結婚後も地方公演の多かった松平さんの留守には、認知症になった母の介護をずっとしていた。自我薄で人の役に立つことは苦にならないので、介護そのものはこなせたと思う。
 
その母が2010年に亡くなる。精神科の専門医は愛する母の死に直面し、「いったい何のために生きているのか…」と自己の存在を否定する思考に進み、負の連鎖に陥っていったと考えることはできると松本さんの精神状態を推測する。』という記事があったが、宿命的にとらえると、甲(母)の不在、壬(夫)の不在(松平さんは仕事で家を空けがちで、松本さんを孤独にさせたことに責任を感じていた)で座下が空になったことが大きい。
自分を支えるものがなくなり、海(壬)に浮かぶ孤明(丁)の危機管理暗合が発生して、乙亥 甲甲 と自己喪失暗合がほどけなくなって・・・と推測できる。 
暗合には常にこうしたリスクはついてくる。
 
ただ、これはレアケース。通常はそれなりに地に足を付けた生活ができる。頼れる配偶者がいればより安定感は増す。
 
とはいえ、そこまでに至らなくても、異常干支は異常干支。
丁(夏)と亥(初冬)という精神と現実のギャップは大きい。
天然系のどこか変という感じと、独自な発想でユニークな世界を作り上げる異常さ(才能)は日干丁亥のどの人にも見出せる。
 
『自分の心を論理的に人に伝えるのは苦手で、人には理解されない一面を持つ。自分の行為の中で理解してもらうことが必要になる。人生に波乱は多いが、中年以降、独自の精神世界を作っていく。
丁亥の干支占技の言葉だが、こうした傾向は持っている。
 
陰占的にみると、亥の特殊性は、壬(種)甲(芽を出す)という出発点にある。
戌→亥の流れは、戌が作り上げた独自の空間を種として宿し、それを発芽させる働きをする。異常干支の役割である既存にない何かを作り上げる能力にもなるが、丁の開花力には飛躍があり(プロセスが欠ける)、時に、夢想、空想という独自な世界を作り上げる。それもまた、丁亥の能力の範疇だろう。
この飛躍的な発想は、午未グループ全体の特徴といってもいいように思う。
 
『自分独自の趣味や精神世界を持って、他人の入れない領域を作っている。夢の中で遊んだり、空想世界のほうが安住の場を見出すことができる。反面、現実世界での争いごとなどはかなり苦手となる。』とあるように、天庫星異常干支と同様に、自分だけの安住の空間は必要になる。それが家庭であると、丁亥の安定感は増す。
 
これらをポイントに、丁亥の有名人を見て行きたい。