★異常干支⑤
 
18・辛巳
暗合系の異常干支。インスピレーションが強く、霊能力もあると言われている。
辛巳の異常が出る条件は、
 
『貧しいとか非常に苦しいとか、底辺の家庭で育つと異常性が生まれます。
 大体において王侯貴族のような生活、といっても経済だけでなく、非常に知的な生
 活をすると正当になります』です。
 
『庶民的な中で暮らすと、逆に異常性がでるのです。』
 
王侯貴族という前時代的な言葉が出ているが、これが辛巳をよく表している。
知的かつ優雅な生活が、赤い背景を意味する。正当になるというのは、正常になるということではなく、異常が目立たないという事。
皆と同じような庶民的な生活は、背景が緑になることで、そこでは極めて赤(特異性)が目立つことになる。
 
算命学の干支占技では『自尊心はかなり高いが日常生活の中では高さゆえにないように見える。』これがもっとも端的に辛巳の異常さを示した言葉になる。
 
単なるプライドではなく、もっと自然に、天性に持っている品性であり、「貴種流離」のイメージ。
辛巳の自尊心は、かつて貴族だったDNA的本能が染みついていて、天上から外界を見下ろすような本性が宿っている。『偏見や差別感覚はなくというもので、上下意識をもった自尊心でもない。意味としては、自分対その他大勢という感覚に近い。自分以外はみんな同じ、下々の者たちという均一性になる。偉ぶるわけではなく、そこには寛大さとやさしさがあるように思える。神が民のためにあるように、自分が面倒を見るという気持ちは強い。
 
庶民的な生活の中にいれば、こんなところにいるはずの自分ではないという本性が異常さとして周囲には映る。自分自身も自分に対して違和感を持つ。
普通にしていても、どこか偉そうであったり、自然体の上から目線と見られてしまう。
 
辛巳が辛巳的資質を持ちながら、また、上流の環境を持ちながら、しかし、実際はそれほどでもない生活環境だった場合、という複雑な例題がある。
 
 
ジョリーさんは、女優、映画プロデューサー、ファッションモデル。
『60セカンズ』『トゥームレイダー』『Mr.&Mrs.スミス』が代表作品。
 
両親ともに俳優と女優だが、生後間もなく別居し、母に育てられている。
これまでに3回結婚し3度離婚している。3度目の夫はブラッド・ピット。
結婚は2014年だが、2005年あたりから交際していて、6人の子供がいる。
内3人は養子だが、3人は実子。彼女の宿命には子供干はない。表現の星がなくても名女優で子だくさん。こうした例はいくらでもある。
 
五行で「ない気」は、それができないでもないし、能力がないわけではない。
むしろ「自然にできる」と考える方が現実的だと思える。
 
鳳閣星調舒星のない役者や作家やアナウンサーはいくらでもいるし、玉堂星龍高星がない高学歴者や学者、企業トップもたくさんいる。
五行バランスが悪いからといって補うやり方は意味があるとは思えない。それがないことに意味があり、それがないゆえの能力になると考えるべきだろう。
 
異常干支が才能になるのは、中庸がないからであり、天将星が最大エネルギーを発するのは、偏るが故。
バランスを重視する算命学は偏りやアンバランスを異常と呼ぶが、バランスが取れていることと、とれていないことは、どちらも異なる能力としてとらえるほうがいいように思う。五行が偏っているのは、偏ることが才能になる。
 
ちなみに、入力(玉堂星龍高星)のない有名人リスト。
誰でも知っている有能かつ個性的な才人が並んでいる。
豊田英二さんはトヨタの5代目社長で東大卒。
盛田昭夫さんはソニーの創業者の一人。
御手洗毅さんはキャノンの創業者。
入力ナシは、常識にとらわれない発想を自然に持つことができる。
 
閑話休題。
『ジョリーは10歳代から20歳代の初期にかけて自殺傾向のある鬱状態に悩まされた。彼女の母親の収入は少なく、つましい生活であったので、彼女は裕福な家庭からの学生の多いべバリーヒルズ高等学校の中で孤立したように感じ、さらに、ジョリーが極端に痩せていたことや、眼鏡、歯列矯正の器具などを着用していたことで他の生徒からからかわれるということもあった。彼女は他の人達と心を開いて付き合うことに困難を感じ、その結果、自傷行為を始めた。当時のことをジョリーは「ナイフで自分を傷付けると生きているという実感が沸き、開放感に満たされ、なぜか癒しのように感じるのです」と振り返っている』
 
wikiのこの記述からの推測になるが、辛巳の天性の貴族性(高すぎるプライド)が、本来の居場所である上流ハイスクールにあれば、赤プラス赤で正常になるはずだが、彼女は逆だった。背景は赤でも、本来は赤いはずの自分だけが緑で浮き上がり、屈辱的な劣等感を感じる。自傷はそんな自分(緑の自分)を本来の赤い自分が罰しているかのようにみえる。環境対自分の問題ではなく、自分の本質と現実の自分の色が違っていることを思い知らされたゆえの葛藤の大きさを感じる。
 
そこから名女優に上り詰めた彼女は、自分にふさわしい環境を得る。赤なのに緑だった自己矛盾はなくなる。すると環境も赤い環境になり、本来の高みにのぼることが可能になる。
そこでは、恵まれない子供を支援し、野生動物の保護に尽力している情け深い慈善家にもなって行く。
 
 
暗合異常については、一つは「母(戊)」がストッパーの役割を果す。
丙暗合辛の間に、丙→戊→辛と流れを作ることができる。学ぶこともまた、暗合を防ぐことになる。言われているほど霊能力者が多いわけではない。
 
丙が激剋する庚は、辛の変身した自我にすると女優や現実の自分が、辛巳にふさわしい役割(牽牛星)を果たす姿にもなる。
と同時に、配偶者(丙)に激剋される現実の自分(庚)でもある。配偶者(丙)からみると愛人(庚)ともいえる。石門星に何が入るかによって、現実は変わってくる。
一般人でも、女優的資質は持っているといえる。
 
暗合を持つ異常干支はすべて配偶者と暗合する危険性を持っている。
通常の配偶者なら、牽牛星、司禄星として安定和合するが、配偶者が意にそぐわないと暗合リスクが高まり、ジョリーさんのように離婚を繰り返すこともある。
 
それでも辛巳は天極星エネルギーで動くので、環境の受容力は高い。自分にふさわしい部分を持っている夫なら、その他の問題には目をつむることはできるだろう。
ジョリーさんのような例もあるが、異常干支の中では、離婚率は低い方だと思う。
 
逆にいうと、緑色の配偶者ではだめということでもあり、どこかに自分と同じ赤色を持っていることが夫婦をつなぎとめる絆になるように思う。
 
日干に辛巳を持つ人には次のような人がいる。
 
芸能界の場合、そこがすでに赤い背景という意味があって、異常干支には居心地の良い場所になるのだろう。
 
皇室は辛巳にとっては最高の環境であり、昔の女優(吉永小百合)は銀幕という別世界の輝きを持っていた。銀行員だった小椋佳さんは緑の中の赤だけではいられずに、歌い手として二重生活をしていた。
 
名前から人物を思い浮かべると、全体にどことなく品性を感じさせる人という印象はある。しかし、実態は表からではわからない。
癖のあるタイプや、潔癖症など偏向傾向を持った人もいる。
 
一般の辛巳の人は、外面は良く、内面は?が多い。多芸多才。カンは鋭くても、霊感という話はあまり聞かない。プライドの強さはあるが、自己主張するようなものではなく、天性に備わったという印象がある。