ケース㊸ 円広志(1953/8/21) シンガー・ソングライター

 

『死にたいと思ったことはない。でも、死んだ方が楽やろなと思ったことはありますよ。たぶん、俺は50までは生きられん。ずっとそう思っていました。それほど、つらいんです。このパニック障害という病気は。バラエティ番組でずっと座っているだけでふらつき、目の前がグルグル回る。いたたまれない気持ちを前後左右に体を揺さぶって、我慢していると汗びっしょりなんです。こんなこともあった。エレベーターに乗ろうと思ったら、エレベーターの箱が落ちそうな気がするんですよ。かと思えば、トイレで用を足して水を流すと、その渦に吸い込まれそうな気がする。もう、あかん。』

 

円さんは、1978年、ヤマハのポプコンで歌った『夢想花』が80万枚を売り上げる大ヒットとなった。その後、ヒットが続かず低迷していた時期もあったが、森昌子さんの代表曲の一つとなった『越冬つばめ』の作曲で新境地を開拓して、復活した。

パニック障害については、マスコミでも公言し、2015年には本も書いている。

 

宿命の特徴

①暗合系異常干支・癸巳

②才能星禄存星と月年の支合

③天馳星・天胡星

 

①暗合系異常干支・癸巳

 

24もそうだったが、暗合系異常干支で病むと、症状が重くなる傾向はある。

年干支の戊と癸が暗合する。この戊が光体で、才能が禄存星というところに、問題がありそうな気がする。

 

②才能星禄存星

 

癸は玉堂星で、禄存星と玉堂星の和合は、「学ぶことや芸術的なことに興味を持ち精神の向上をはかるようになる」というもの。これ自体の主体性は薄く、環境に左右される。「環境の影響をそのまま受ける。逃げることも下手」となり、良い時は忍耐力や努力となって、苦しい時を乗り切ろうとする。

呪縛性のある和合で、環境から逃げられない「業」が生じる。

 

才能星禄存星は、剋されて自己顕示が消えて(戊を空にして)、人を引き付ける引力を発揮する。人を魅了することが才能。

戊を剋すのは甲(自分)。芸能人なら、人の気を引くために、無心に仕事に打ち込む(歌を歌う、曲を作るなど)。

戊を空にするということは、甲(自分)が空になるということ。

 

自分を空にするためには、地支の丙・鳳閣星(観察)が庚・車騎星を激剋。自分流の闘争心を生み出すが、環境を読んで、その状況に見合った役割意識を車騎星に組み込む。

また、禄存星(人引力)も車騎星に入って、人に喜ばれるために自分を鞭打つ。

この庚(闘争心)が自分を打ち、自分が空になって、戊(禄存星)を打つ形ができている。

その禄存星が癸と和合して、能力に芸術性を加えた精神が作られる仕組みがある。

 

庚は月支心の庚と支合で連結。生貴刑も含まれるので、この庚には先導的な強さがあって、自分を激剋する力を倍加する。

この宿命は、いかに「甲」(自分)を空にできるかがカギになる。

 

庚も戊も空(自我が入らない)状況で最大限の燃焼をし、人の為に役立つ何かを生み出す仕掛け。円さんなら、歌で人を魅了すること。

 

 

ヤマハのポプコンで「夢想花」を歌った時が1978年。この時の自我量(緑)と病んだ1989年の自我量とを比べると、最下位とトップという大きな違いがある。

無心で歌えたスタートと、どんどん自己顕示欲が高まってきて、禄存星も車騎星も空になり切れない時代へと、移っていることがグラフで見てとれる。

 

『テレビ局の駐車場でマネージャーに、「もう俺を許してくれ、責めないでくれ」と号泣して番組を全部降板したのは、今から15年前のことでした。』(2015年本人談)

 

15年前というと2000年くらい。その前に天中殺があるので、このあたりからだろう。自我(緑)が最大値になっている。

強い自我によって、空になれない甲を、庚(車騎星支合刑)が強い力で打ち続ける。目の前の出来事から逃げられない自我は、禄存星(戊)を空にすることもできずに、

戊が機能しなくなって、癸と暗合、パニックを引き起こす、と推測できる。

打たれる甲(自分)は責めら続けているのに、逃げられない人になり、どんどん追い込まれて行く。

 

③天馳星・天胡星

若年から中年にかけて、天馳星、天胡星という現実味の薄いエネルギーになっている。歌い手として、作曲家として、最適なエネルギー。ただ、現実を作ることは難しい。これまでも見てきたが、低エネルギーで才能を発揮して、お金と名誉(現実)を得ることで、このエネルギーとは違った人生が生まれてしまう。

 

才能以外の現実の楽しみが生まれ、そこに目が行くことで、現実的には空のエネルギーで動く甲に欲望が含まれてきて、日干とエネルギーと運勢に乖離が生まれる。

デビュー当時の大運3旬は調舒星+天胡星という、まさに音楽には最適の運勢にあった。

そして、そのまま順調に行っていれば、5旬から、大運天中殺にのって、最大エネルギー(天将星)で人(石門星)を魅了する人になって行くのがシナリオだったろう。

 

病んだ、2000年近辺で最大になっていた緑の大半は陰陽の自我(乙)で、これを人で消化できなかった問題が浮上して来る。自己顕示が強まれば、結果は「害」になる。どこかでボタンの掛け違いがあったのだと推測できる。

 

『円は多額の印税を手にしたものの、その後「夢想花」を超えるヒット曲に恵まれなかった。「レコードは売れたがファンが付いて来なかった。元々ロックを歌っていたのにデビュー曲がポップスで、長髪も切ったから大阪など地元のファンからそっぽを向かれた」「僕にとってはポプコンのグランプリがゴールだった。スタートではなかったんですね。だから2曲目が続くわけもない」とも述べている。』

 

『数年間、毎日パチンコと飲酒に溺れて暮らしていたが、1982年のある日、全ての貯金が底を突き、東京から大阪に戻った。その後の1983年、たまたま、知り合いのポニーキャニオンの宣伝担当者に「暇つぶしに演歌調の曲を作って」といわれ、石原信一の詞を渡された。1か月かけて作った曲が、森昌子ののちの代表曲の一つとなった「越冬つばめ」であった。』

 

自我力が弱かった大運2旬。大ヒットと印税(名誉とお金)で、才能よりも現実を作ってしまったのだと思う。そうなると、弱い自我(緑)は無力な世界を生きることになって、「毎日パチンコと飲酒に溺れて暮らす」という人生になる。

これがボタンの掛け違いで、それでも、作曲という新たな才能開花の場が与えられて、そこでどうだったのかは、情報がないのでなんともいえないが、結果的には、才能と現実をつなぐ道が見いだせなかったのだろう。

 

言い換えれば、天馳星・天胡星+空の気は、現実に寄ってしまうほど、機能障害が起こりやすくなる、ということだと思う。

 

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