その日は、突然やってきました。
 
以前から、日々来日する多くのインバウンドに向けて、
日本滞在中に美味しい日本酒を体感いただき
日本の素晴らしさとともに知ってもらいたい、
という想いを強く持っていて、
 
インバウンド向け旅行会社を経営している友人とも
是非やろう、という話をしていたのが2年前。
それから随分と時間も経っていたのですが…
 
「急な話なんだけど、4月〇日空いてない?」と突然の連絡。
実施日、2週間後ですかー!!
 
 
「カリフォルニアからの来日で富裕層3名連れ、
日本文化にとても興味があるけれど、日本酒の経験は
それほどでもないみたい。日本は初訪問で、言語は英語のみ」と。
 
通訳挟まず、すべて英語での解説。
心の準備などないままなタイミングだけれど、
これは私がずっとやりたいと願っていたこと。
背に腹は代えられないとお受けしました。
 
「ワクワクするね~!新しい扉が開くよ!」と友人、
私は正直、初めてのパターンにワクワクより
ドキドキの方が勝ってましたが…!!
 
日本酒経験が少なく文化圏も違う中で
どのような視点、切り口が伝わるのだろうかと
試行錯誤しながら準備し、迎える当日。
 
場所は、六本木の東京ミッドタウンにあるハルヤマシタ東京。

 

 

来日3日目のディナーだったのですが、個室で
新和食のフルコースに合わせながら、
皆さんのリクエストも聞きつつ日本酒をセレクト、
そしてお酒の解説だけでなく、日本の文化、日本人の精神性に
ついてなど色々お伝えしました。
 
個室だったのと、今回ある特別な旅でもあり、 
リアルな日本文化を体験したいとのことだったので、
ぜひ飲んでいただきたいお酒も一本、プレゼントで持ち込みしましたよ。
 
油長酒造の「水瑞(みずはな)」
1355年に書かれた「御酒之日記」に記された
酒造りのレシピをもとに、大甕で造った日本酒。
日本酒から日本の歴史を感じていただければ…と。

 

 

他にも、黒龍、酔鯨、獺祭、酒一筋、鳳凰美田など
様々なタイプの銘柄を燗酒も交えつつ体験いただき、
お料理も楽しんでくださり、特に鰻の石窯焼きや
黒毛和牛の炭火焼きがお好きなようでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

実は、今回のお客様男性3名連れのうち、お二人がカップル、
そのうちの一人が末期がんで、動けるうちに最後に思い出作りの旅で、
憧れのある日本に来たいと、10日ほどいらしていたんです。
 
3人とも、とても優しく明るく好奇心旺盛、
私は食事する暇ないくらいずっと質問責めにあっていましたがビックリマーク
 
その中でも一番好奇心旺盛で、日本文化のどんなことでも
吸収したい!と積極的だったのが、末期がんの彼。
日本のこの旅を、かけがえのない大切な仲間と
100%楽しもうとしている姿に、胸がぎゅっと締め付けられる
想いにもなりながら、少しでもこの時間を、
日本を楽しんでもらえたらと
誠心誠意ガイド役を務めさせていただきました。
 
尊いお役目をいただけて感謝しかありません。
気づいたら4時間半!皆さん楽しんで下さったようで、ホッと一息。
笑顔で、アマン東京に向かうタクシーまでお見送りしました。
 
貴重な経験、多くの学びとなった機会となりました。

 

 

今月は、台湾で日本酒ペアリング会の解説等させていただきますが、
こちらも英語でと考えています。
 
今年に入り海外のお話も増えていて、嬉しいですね。
 
チャレンジの場は突然目の前に現れましたが、
勇気を持って一歩踏み出さないと何も始まらない、
 
これからも私のミッション、日本酒を通して、
日本文化、日本の神髄を国内外お伝えしていきたく思っています。
 
新たな扉、開いたかな。
素晴らしい機会を有難うございましたニコ