とても考えさせられるお話でした。



アメリカでは、障害者の事を、
昔は、disable person、 handycapped person と言っていましたが、
現在は challanged(チャレンジド)と呼んでいます。


その言葉には、障害をマイナスとしてのみ捉えるのでなく、
障害を持つゆえに体験する様々な事象を、自分自身や社会のため、
ポジティブに生かして行こう、という意味が込められています。


前向きないい言葉ですよね。



先日、日本で障害者自立支援法案が衆議院で可決されましたが、批判の声も多く聞かれました。
チャレンジドに対し、原則、保障の1割負担を義務化するもの。


マスコミでは、この法案ばかりをクローズアップしていましたが、
同時に、障害者雇用改正法というのも可決されていたのをご存知ですか?


私も、話を聞くまで知りませんでした。
実は、この二つの法案がセットになって、初めて生きてくるものなのです。



これまで日本の福祉は、出来ないところにだけ着目していました。


私達の意識にも、障害者=弱者、気の毒な人たち
という見方が染み付いていますよね。 


でも、本当はチャレンジドの人達それぞれに、勉強、仕事、恋、結婚など、
普通の生活をしたいと感じているんです。



今回初めて、障害者雇用法の改正で、
多様な働き方をバックアップしながら、チャレンジドを
ひとくくりに弱者として扱うのでなく、それぞれに個性を持った人が、
個々にできる仕事をし、自立をしていこうという視点にたちました。



その法案に道筋をつけた、
プロップステーションの、竹中ナミさんに直接お話伺いました。
http://www.prop.or.jp/ ←こちらHPです。活動内容が良く分かりますよ。

 
神戸出身の方ですが、本当にパワフルで、人を惹きつける魅力を持ち、
政界の人たちからも“ナミねぇ”と愛称で呼ばれている、
ちょっと異色な方☆
ご本人にも、32歳になる重症心身の娘さんがいらっしゃいます。


竹中さんは、様々な障害を持つ人達と出会い、話を聞く中で、
100%の保護を受けないと生きていけない人たちは、ごく一部だと感じられました。



竹中さんがやってらっしゃるプロップステーションでは、
様々な活動をされてますが、
中でも、チャレンジドの人たちが、 ITを使って、在宅でも出来る仕事を広げ、
自立と社会参加、特に就労の促進や雇用の創出を目的に活動されています。



竹中さんはそこで、パソコン教室などを、チャレンジドの方に講習料を払って受けてもらうという、
前代未聞の事をされました。


当時、障害者からお金を取るなんて!!と、周囲は非難ごうごうでしたが、
お金を払い、リスクを負ってでも技術を身に着け、働きたいという人が、
一方でたくさんいたのです。



その講習を受けた人たちは、重度の障害で通勤は無理だけど、
家でなら、ベッドの上でなら出来る仕事もある、と自ら言い出しました。


仕事をし、社会に認められたい気持ち。
そして、更に、夢、希望を持ち、スキルを磨こうとする人たちが広がっていく。


その働きたい気持ちを尊重できない社会は恥ずかしい、と竹中さん。



企業側としても、全身介護の人を雇用するなんて、これまで考えられない事でした。


例えば、NTTネオメイトは、在宅で仕事ができる様、
ITで、地図のリアルタイムの修正をオンラインでする仕事を、
障害者向けに新しく開発したそうです。


結果、能力を発揮できる人が出てきました。


このような動きが、全国に多様に広がっていくべきでしょう。



ただ、急にこんな法律を作られても、
負担だけ増えて、チャンスを与えられる様な環境がすぐに整うのか、
という不安が出てくるのも当然だと思います。


それは、今までの日本の福祉制度が問われているのでしょう。
これまでチャンスを奪い続けていたのに、
今更そんな事を言われても信用できない。


チャレンジドも技術を身に着け、社会に進出し、
きちんと働ける環境を作っていかなくてはいけないと思います。



まだ、2,3歳の、チャレンジドの子供を持つ親たちが、
将来、この子供たちが、福祉だけでしか生きていけない社会にはしたくない、
という相談も、最近よくあるそうです。


障害は恥ずかしい、というのでなく、近頃は、堂々と、
親達も子供を連れて、街を出歩いているそうですよ。



ただ、チャレンジドの中でも、弱者のままでいたい人と、
チャンスが欲しい人がおり、今回の法律に対して
賛成と反対で大きく割れているという事です。


雇用法改正案の事も知ってもらえれば、もっと理解が深まっていくのではと
竹中さんはおっしゃっていましたが。。。



アメリカでは、国防総省に最重度の方が幹部として働いているというので、
竹中さんは何度も訪れ、調査されています。


官僚として多くのチャレンジドの人が働いており、
福祉政策、教育政策、税制政策などを、作る側にいるとのこと。


年々アメリカを訪れるたびに、その人数も増えているということです。


日本の霞ヶ関では、果たして、そんな方がいらっしゃるでしょうか。
技術を身につけるようなシステムがあるんでしょうか。



また、チャレンジドの大学の進学率を見ると、
日本では0.09%しかなく、一方のアメリカでは10%にしようという動きだそうです。


私もアメリカに留学した際、車椅子の生徒もいたし、手話の人たちが
授業中ボランティアで活動していました。
それが、日常当たり前の光景でした。



そう考えると、日本は本当に、環境、私達の意識が追いついていなさ過ぎると感じます。
ここに来て、ようやく動き始めたという所でしょうか。



アメリカでは、ケネディ大統領が就任式のとき、
「障害者がTAX PAYERになれないと決め付けるのは、差別である。
 TAX PAYERになれるようにするのは、国家の責務である」と言いました。


そして、アメリカ社会では、意識、環境がここまで変わりました。


ただ、アメリカは日本に比べ、社会保障は手厚くないので、
障害者の中でも、サクセスつかめる人とそうでない人に格差があるそうです。



一方、日本の場合は、一律に、世界に例のない保証があるので、
アメリカ以上のことが、この法改正で出来るだろうと。


今後、法律はもっとよりよいものに練り上げていく必要がありますし、
まず、私達の意識改革ありきだと感じました。



今日は久々に長くなってしまいましたが、、、、
最後まで読んでくださり、有難うございます。