自分のほうが強く愛する事は既にその恋愛に負けている。
以前経験した恋愛からそう思うようになり、負けず嫌いの私は“愛されなければ愛さない”絶対勝ち続ける!
そのはずだった…

昨年知り合った彼は、今までの『受け身』や『お酒』絡みではなく、気がついたら心を奪われているという、初めての経験だった。
長身でバランスのとれた体型、優しい笑顔で人懐こい印象だが、実は氷のような冷たい厚い壁を心にまとい、決して本心をさらけ出さない人。
激しく感情を揺さ振られる事もなく、例え一時的に乱されてもすぐに消化して無かった事にしてしまう人。

ちょうど昨年の今頃だ。
今まで出会った事のないある意味面倒くさい彼に妙に惹かれ、私は(いい歳して)素直に気持ちをぶつけていた。
照れ臭そうに「勘弁してください」っていう彼の反応を子供のようにはしゃいで楽しんでたの。
それまで仕事の悩みで辞職を考えてたのが嘘のように、彼に会えるだけで幸せだった。
当時の私ってまさに中学生レベル。一人恋愛ごっこのくせに、そばにいる事が嬉しくて嬉しくて仕方なかったな。

ところが一ヶ月半経った頃、私は彼の壁を溶かして心に入ってしまったと解った。どうせうまくいかない、そう自制していた彼の頑なな考えは強い愛情に変わっていた。

勤務中のクールさと、二人になった時の不器用ながらも一生懸命愛そうとする彼に夢中だった。
小さなトラブルは幾つかあったけど乗り越えてきた、私が転勤して職場が離れるまでは…

ストレートに愛情表現をして相手にも求める私と
何よりも束縛を嫌い、言動で示すことが苦手な彼

結局一番大切な部分が合わなかったのね…

ようやく残暑から初秋の風を感じるようになったあの夜…
久々に会い楽しくお酒もすすんだ。いや、日々の寂しい思いが一気に噴き出す悪い『お酒』だった。

“もっと逢いたい!連絡も以前より少なくなった。どうして逢えないの!”

…そんなに言うならもう会わない…

で The END

彼とは不倫だった

彼なりにできる範囲内で精一杯だったのかもしれない。
最初は一方的に好きでいさせてもらうだけで満足だったのに、恋人に昇格した途端欲がでたのかもね
プライドの高い彼は二度と連絡してこないだろう。私も追いかける事はない

昨年の年末、ふとした拍子にAという俳優を知った。彼によく似たAを知るうちに一気に恋におちた。
負け恋と知りながら無意味な恋に身を投じたらしい。