Tell me why 18 (最終話) | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

『森の小さな美術館』に就職が決まり

俺は俺の進む道を見つけた

一つだけ訂正して欲しいのは

『小さな』だ決して小さくない

所蔵している美術品はかなりの数

大野画伯(画伯父ちゃん)の絵は

未発表の物がかなりあるらしい

館長の話では5枚の絵が揃ったら

特別展を開きお披露目するそうだ

もしかしたら、それを機に

「大野画伯美術館」になるかもしれない

(これは俺の勝手な推理だけど)

 

あそこに連れて行ってくれたピ~ちゃんは

あの日の二日後、ドイツに向け飛び立った

俺の予想通り

零治さんが初めて担当した

将来有望な画家の卵はピ~ちゃんだった

 

空港であったピ~ちゃんは

期待に満ちた表情に

ちょっとだけ不安が交じった笑みを浮かべ

手を振って出かけたいった

 

「ここからがスタートだ

 山あり谷あり、大変だろうけど

 彼なら乗り越えられるはずだよ

 そして、俺たちの仕事はサポートする事

 終わりじゃないよ」

 

確かに留学がゴールではなくスタートだ

数多くの芸術家が海外へ旅立ち

成功を収めるのは

ほんの一握りの厳しい世界だ

彼が彼の世界を見つけられたらと

願わずにはいられない

(サポートする前提で)

 

卒業の単位は全て取得済み

残すは卒論のみ

ゼミのある日以外は

零治さん(育英会)の仕事を手伝ったり

『見聞を広げなさい』の言葉通り

美術館巡りをして知識を蓄えたりしている

全くの門外漢なので

全てが新鮮で学ぶことを楽しむことが出来てる

 

 

正式に美術館から内定通知を貰った秋

無門さんに会うために

friendshipに向かった

今回はアポイントメントを取っているので

受付で門前払いされることもなかった

考えたら前回は非常識だったと思う

 

応接室に通され

無門さんが来るのを待った

待つこと数分で彼は来てくれた

櫻井さんを伴って

 

「野良君、お待たせしちゃったかな?

 どうしても同席したいって

 この人が聞かないから(笑)」

 

人懐っこい笑みを浮かべた無門さんと

ちょっと仏頂面の櫻井さん

 

直ぐに立ち上がって一礼する

 

「そりゃそうだよ

 有望新人君を館長に取られたんだから

 決め手が何だったのか

 聞かないと納得できないだろ」

 

まだ怒ってるみたい ・・・

考えたらそうだ

去年の夏、話を頂いた時は

『お願いします』と答えてたんだから

 

「その節は本当に申し訳ありませんでした」

 

深々とお辞儀をして

彼からの言葉を待った

 

「ふふ、大丈夫だよ

 頭をあげて

 僕は野良君を館長に預けた

 そう思ってるから

 翔も分かってるだろ」

 

頭をあげると

無門さんの手が櫻井さんの肩を数回叩いて

宥めてるように見えた

 

「それは分かってるけど

 モヤモヤしてるの

 あそこを選んだ理由を教えてもらおう

 どうぞ座って」

 

「失礼します」

 

二人が座るのを待って

俺もソファーに座り

あの日の事を二人に話をした

 

「大ちゃんの「蒼」の絵か ・・・

 それは勝てないよ

 あの絵にはそれだけの力がある」

 

「そうだな」

 

無門さんの言葉に同意する櫻井さん

 

「二人も見たことが有るんですか?」

 

「あるよ

 あの音楽会に出ていた

 特別なお客様以外は

 「蒼」の絵を見てると思うよ

 多分、彼も見てる」

 

彼(兄さん)も見てるって事?

館長は何も言ってなかったけど 

 

「ああ、見てるはずだな

 不思議な絵だと思わなかった?」

 

「ええ、思いました」

 

見る人やその人の心持ちによって

見え方が全く違う絵

そんな絵に会ったことはなかったから

 

「心を映す絵だからな ・・・

 自分と向き合って決めたことだから

 仕方ないな」

 

「館長の元、しっかり学んで

 家に来てくれるのを待ってるよ

 この先必ずここに座ってるから」

 

彼らには何が見えているんだろうか?

いずれはfriendshipにくるって

本気で信じてる

俺の意思は?

それもひっくるめて

彼らは断言してるのかもしれない

 

「その時はお願いします

 ですが、館長の元で頑張る所存です」

 

「そうだね

 今は零治君と二人三脚で

 仕事に邁進してください」

 

「ありがとうございます」

 

「就職おめでとう!」

 

「これは俺達からの就職祝い」

 

お祝いの言葉と共に

ビジネス手帳をプレゼントしてくれた

 

 

ピ~ちゃんと同じ

新しい扉を開けて

彼に続く道を探そうと思う

 

 

 

必ず辿り着くから

そこで待ってて

 

 

 

 

 

 

 

 

<終>

 

最後まで読んで下さり

ありがとうございました

次は『兄さんのO国編』を

お届けできたらと思っています

 

蒼のエルフ