I think I love you  51(やまの日企画) | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

怪我をしてモノクロの世界になった俺の前に

野良君が迷い込んできた

ポンコツになった俺のダンスを見て

『感動した』と言って目を輝かせた

ダンスの「ダ」の字も知らない野良君

それがお世辞ではないことは分かった

ただ、ダンスの世界を知らない奴だからこそ

褒めまくったのだろうと理解した

 

そんな奴が俺の前でぎこちないダンスを踊る

『馬鹿げてる』と思いながらも

何故か突き放せなかった

 

幼いころ、ダンスを始めたばかりの俺が

そこに居た気がしたからだ

 

昨日まで出来なかったことが

今日は出来た

数々の奇跡を目の前で見ながら

諦めない大切さを思い出した

 

 

 

「すんげぇ、良い顔になったな」

 

ブルージュのステージが終わった後

同じように怪我をして

踊れなくなったことが有る風ちゃんが

俺の肩を抱いて笑う

 

「やっぱ ・・・ ダンスは楽しいな」

 

「だろ!

 あの絶望から這い上がったからこそ

 今日と言う日が特別になる」

 

何をすべきかも分からなかった

歩くことから始めたんだ ・・・

踊れなくて歯がゆくて

踊れるようになっても

自分のポンコツさに呆れ絶望した

未来への扉を自分から閉ざした日々

 

同じ苦しみを味わった

風ちゃんの言葉だから

素直に頷ける

 

「うん、ここまで綺麗な色のある世界 ・・・

 久しぶりだよ」

 

色の付いた世界で

光が導く場所が見えた気がした

 

「野良君が連れてきたんだな」

 

「ああ、そうかもしれない ・・・

 それと、ちび助だな」

 

「あの子に見つけてもらえたんだから

 進むべき道は見えただろ?」

 

「見えたよ ・・・

 王子の話を受けようと思う」

 

「それは良かった

 で、野良君には伝える?」

 

「伝えない

 アイツにはアイツの進むべき道がある」

 

学祭が終われば

就活を始めると言った

俺は学祭が終わったら

O国に行こうと思う

 

「その気持ちもわかるな

 お前の好きにしろ」

 

意外だった

絶対の教えろと言われる気がしてたから

そんな顔で見ていたのだろう

風ちゃんは苦笑いを浮かべながら

 

「俺も同じだったからな

 偉そうなことは言えない

 自分に自信が付くまで一人で頑張れ」

 

「うん」

 

今までとは違う世界に足を踏み入れる

 

野良君が同好会の部屋に来た時と同じ

俺も新しい場所で始める

 

 

ソラスでのダンスは

君へのお礼だよ

 

学祭に向けて

ブルージュの最高作品にしよう

 

 

「兄さん、行くよ!」

 

無門が俺の背中を叩いて頷いた

 

ソラスとして作り上げるステージ

最後まで楽しみたい

この先を踊るために

 

 

 

 

 

 

<続きます>