月の兎が見える夜 54 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

想定外のことが起こると

思考と言うものは停止するらしい

床にへたり込んだまま

両手で顔を覆った

 

「副社長 ・・・ 」

 

緋~ちゃんの声が頭の上で聴こえていても

顔を上げることも返事をすることも出来ない

 

「何か変わったことは有ったの?」

 

冷静な声で蒼さんに尋ねてくれる緋~ちゃん

そこに、和さんたちが戻ってきた

 

「どうかしたの?」

 

まだ何も知らない雅紀さんの怪訝な声

 

「社長が戻ってこないと

 風っこの二人から連絡があった」

 

「戻ってこない?」

「どういう事?」

 

和さんとジュンさんも

かなり戸惑った声だ

 

「バスに同乗して行った

 風っこの二人から電話があって

 社長が2重ゲートの中間スペースから

 消えたらしい ・・・」

 

旅行社の許可証を持っている社長は

業務を行っている間は

あのスペース内に留まれる

向こう側のゲートが開き

一人になった時点で

スペース内に留まれるのは数分

それを越すとアラームが鳴り

こっち側のゲートはロックされ

向こう側のゲートが開いたままになる

最悪、コロニーに連行される 

「RAY」に不法に入ろうとした者として

ただ、許可証を所持しているので

本来であれば、すぐに戻ってくることはできる

あの一件がなければ

そこまで心配はしない

 

「つまり ・・・向こう側に行ったってこと?」

 

「そうなるな ・・・

 風っこの二人が戻ってこないと

 詳しい状況は分からない」

 

「副社長、椅子に座って

 彼らが戻るのを待とう ・・・

 もし連絡可能なら

 岡田と言う人に ・・・」

 

緋~ちゃんが俺の背中を数回叩いて

立つと促そうとした時

庭から泣き声が聴こえた

 

「あ~~ん ・・・ あ~~ん!」

「あおちゃ~~~~~ん ・・・」

「ちゃいへん ・・・ わ~~~ん」

「どちよ~~~~う」

 

その声を聴いた

和さんとジュンさんが真っ先に反応した

 

「蒼ちゃん ・・・」

「蒼ちゃん」

 

顔を上げると

真っ青になった二人が庭に飛び出していく

 

「遊んでてケガでもしたのかな?」

 

雅紀さんが心配そうに庭に目をやる

 

「俺もちょっと見てくる」

蒼さんが二人の後を追いかけていった

 

ちびちゃん達がいなかったことに

漸く気が付いた緋~ちゃんと俺

 

「雅紀、ちびちゃん達はどこに居たの?」

 

「どこに? ・・・ そう言えば

 バスを見送るときいなかった ・・・

 疲れて店に戻ったのかと ・・・」

 

「戻っていくところは見たの?」

 

「見てない」

 

緋~ちゃんの顔が一瞬で蒼ざめていく

俺たちがいないい間に

何が起こってた?

 

3人でテラスの方に向かって歩いていくと

 

泣きじゃくるじゅん君を宥めるジュンさん

泣き顔のかず君とま~君も抱っこする和さん

涙は見せていないけれど

明らかに途方の暮れたような顔をするしょう君の

背中を撫でながら戻ってきた蒼さん

 

あれ ・・・ さとち君がいない?

 

それに気が付いた緋~ちゃんが

 

「さとし君は?

 どこに居るの?」

 

辺りを見回しながら

最後は蒼ちゃんに視線を向けた

 

「それが ・・・」

 

「しゃちょうと ・・・ 」

 

ぽつりと言葉を溢して

蒼ちゃんに胸に顔を埋めたしょう君 ・・・

 

「だから ・・・」

 

「和 ・・・ 先にちびちゃん達を休ませないと

 話しはそれから」

 

和さんの言葉を遮り

目配せをする蒼さん

ジュンさんは小さく頷いて

そのまま食堂を抜け

地下に続く階段を下りて行く

和さんもそれに続き

蒼さんからしょう君を託された雅紀さんが

二人の後を追った

 

「俺たちのいない間に

 一体何が起こったの?」

 

緋~ちゃんの鋭い視線が

蒼さんに向けられた

 

 

 

 

<続きます>

 

また日にちを間違えて

同時にあげてますねぇ ・・・

う~ん ・・・ 時間をずらしますね

53はこの前に有ります ・・・