光が射す場所 300 | 蒼のエルフの庭

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若旦那の袖の下と若主人の牡丹餅が功を奏して

よく見える位置で鶴のの観察をする事が出来た二人

若主人は持ってきた紙と矢立で

何枚も鶴の下へを描いていく

若旦那と言えば

ただただ夢中になっている若主人の顔をみてぽ~となり

描いている絵を見て、感心しきりに唸り声を上げる

 

どうしてこうも上手に描けるんだろう

此奴には絵の神様が付いてるのかも知れねえ

下絵なのだから走り書き

所謂、輪郭だけとか羽だけとかなのだが

自分が描く絵に比べたら雲泥の差

清書した絵よりも素晴らしいのだ

此奴の絵が300年先まで残っているのが

分かるような気がした

 

夢中になって筆を走らせる若主人の瞳はキラキラと輝いて見える

 

「私は、お前さんが夢中になってる顔が

 一番好きだな」

 

思わず声に出す若旦那

夢中になってるから聴こえてなどいないだろうと

タカを括っていたら

 

「絵を描いてる時の顔が一番好きなのかい

 じゃあ、それ以外は好きじゃないのかねぇ?」

 

鶴から視線を外さないまま

聞いて来るからドキリとする

 

「全部好きに決まってるだろ

 その中でも一番って言っただけだよ」

 

慌てて否定する若旦那

その慌てぶりが可愛いと思う

 

「ほほぉ ・・・ 私はお前さんのどんな顔も

 一番好きだがなぁ」

 

「今日のお前さんは少しだけ意地悪だな」

 

若旦那が口を尖らせる

 

「アハハ ・・・ 私はいつも意地悪だよ(笑)

 知らなかったのかい?」

 

「お前さんは意地悪じゃねえ

 偶に素直じゃないだけだよ」

 

「すまなかったねぇ、素直じゃなくて(笑)

 これからは素直になるよ」

 

「そうしておくれ」

 

二人で顔を見合わせて

腹を抱えて笑う

 

「翔、キリがいい所でお八つにしようかねえ」

 

「そうするか

 さっきの握り飯は美味かったな」

 

美味かったという言葉を聞く度に

味はどうだったと聞きたくなる

 

「梅干しがしょっぱかったんじゃねえか?」

 

「梅干しはしょっぱいものだろ

 あれが甘かったら困っちまう

 いい塩梅だったぞ

 握り飯の方もな」

 

「しょっぱかったって事かい?」

 

しょっぱかった?

そう聞かれてどう答えて良い者か悩む若旦那

梅干しは梅干しの味

あれは違うのか?

 

「普通の梅干しだったぞ

 何か違うのか?」

 

梅干を食べる表情があまり変わらなかった

そこまでしょっぱくないのかも知れない

 

「何も違わないが ・・・

 ちょっとしょっぱいかと思っただけだ」

 

「アハハ、昔から酸っぱいのが嫌いだったろ

 だからじゃねえのか(笑)

 私は平気だよ」

 

「梅干しはちょっと酸っぱいくらいが良いんだよ」

 

ちょっとに引っ掛かる若主人

どっちなんだろうねぇ

訊いたら聞いたで

此奴が思い悩むかも知れねえ

もう暫く様子を見た方が良いと考えた

 

 

「次は甘い牡丹餅だ」

 

「ああ、さっき袖の下と一緒に取られちまったから

 一つと半分こだな」

 

激甘牡丹餅が一つ

普通の牡丹餅が二つ

此奴はどっちが上手いというんだろう?

 

「小さい牡丹餅は後だよ」

 

「何か理由があるのか?

 これだけ妙に小さいが」

 

若旦那は重箱の中を覗き込んで

首を傾げた

 

「それはな、お前さんと半分こする為の

 特別な牡丹餅なんだよ

 だから、特別に小さい」

 

歯が浮くほど甘い牡丹餅 ・・・

一口で充分だと思うから、とびきり小さい

 

普通の牡丹餅を口に放り込む若旦那

 

「うん ・・・ これはお前さんのおっかさんのの牡丹餅だな

 小豆と飯の潰し具合が ・・・ 懐かしい味がする」

 

昔、縁側で食べた牡丹餅の味

若主人も和也もこの味をよく憶えている

 

「そう言えばお前さんの所は

 餡が漉し餡に近かったな」

 

それぞれの家に寄って餡の作り方が違う

 

「今でもそうだ、漉し餡の牡丹餅だな」

 

「美味いか?」

 

「ああ、美味いよ」

 

「じゃあ、そのちっせぇ方を食べておくれ

 私も頂くよ」

 

若旦那が小さいほうの牡丹餅を黒文字で半分に分け

若主人の口に運ぶ

 

それを食べた若主人

甘すぎて、直ぐに水筒のお茶を飲んだ

 

「慌てて食って、喉につっかえたのか?」

 

心配そうな表情を浮かべて

若主人の背中を優しく叩いた

 

「お前さんもお食べ」

 

残りを若旦那の口の中に放り込む

 

「どうだい?」

 

食べてる様子をじっと見つめる若主人

若旦那はむしゃむしゃとそれを食べて

若主人と同じようにお茶を飲んだ

 

「う~ん ・・・ 特別の方も美味いが ・・・

 どう違うんだろう?

 よく分からないが ・・・ 私はこっちを頂くよ」

 

最初に食べた方を口に運ぶ

と言っても小さい方はほとんど残っていない

 

どうやら味が分かるようになって来たらしい

だが、確信が持てないのも事実

今度はクソまずいものを食べさせて

ホントにこれはまずいと言わせてやると

心に誓った若主人

 

 

若主人は気が付いていない

若旦那に食べさせる物は

どうやっても、まずく作れない事を ・・・

 

 

小さい方も甘い事は甘いが

それも許容範囲内であることを ・・・

 

 

つまりは、どちらとも美味しいということだ

 

 

 

 

<続きます>

 

 

 

 

 

こんにちは

『光が射す場所』300話になりました

話数の割に進んでいないような💦

若主人と若旦那を可愛がっていただき

ありがとうございます

まだ少しかかりそうですが

よろしくお付き合いください

現代の二人が跳んで来ますので

その時、二人が気が付けるか

そこも気になります

これからもどうぞよろしくお願いします

 

 

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