「お前に付き合ってって
言うつもりやったんや。」
過去の残像から一気に引き戻された。
ぽかんとして信ちゃんの顔を見ていると
「なんちゅう顔しとんねん。」
って。
『だって‥あの子と‥』
「やっぱ見てたんや‥。」
うつむく私。
そして信ちゃんが
あの日のことをポツリポツリと話し出す。
「お前待ってたら来よったんや、
あいつが‥
俺のこと好きやて。
でも、俺は他におるからって。
そしたら急に泣き出して
諦めるから
1回だけでいいから
抱きしめてほしいって‥」
そして ため息をひとつついたあとに言う。
「なぁ‥
あの時、
あんな軽はずみなことせんかったら
今の俺らはなんかちゃうかったやろか?」
顔を上げて信ちゃんを見る。
「それは今からでも取り戻せるか?」
溢れてくる想いを必死で抑える。
泣かないでおこう。
きっと信ちゃんは
泣いてる子は好きじゃない‥。
「あほぉ、
我慢せんでえぇねん‥。」
私の頭をポンポンとする。
『ずっと‥すきやったよ‥』
「おれも‥」
少しづつ信ちゃんの顔が
近づいてくる。
『ほん‥とにずっと‥』
「うん‥」
『忘れたことなんて‥なかった‥』
「もうわかったって‥」
唇と唇が触れる。
過ぎた時間を埋めるように。
優しく包み込むように。
そして、私を見つめ
少し緊張した面持ちで言う。
「いつかここで式挙げられるとえぇな。」

【END】