古今東西の妖精や精霊・スピリチュアルにまつわる作品を取り上げていくコーナーです。

 

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今回取り上げる本はこちら!

 

山田詠美「血も涙もある」 新潮文庫

 

 

主な登場人物

 

沢口喜久江…太郎の妻。料理研究家。太郎が浮気を重ねているのを知っていて黙っている。夫より年上の妻である。

 

沢口太郎…喜久江の夫。うだつのあがらないイラストレーター。桃子と不倫関係にある。

 

和泉桃子…太郎と付き合っている。一方、喜久江とは師弟関係にあり尊敬している。喜久江と太郎が夫婦であることも知っている。

 

 

 

感想

 

「私はこんな経験したことない!」っていう不思議な世界を見せてくれる山田詠美さん!!今回もしてやられたって感じでした~。

あるひとつの三角関係について、夫・妻・恋人のそれぞれの視点から語られていきます。

 

喜久江という女性がとにかく器がでっかくてすごかった・・・

 

夫の不倫も気付きつつ赦すでも罰するでもなく泳がせ、自分のキャリアは着々と積み上げて、助手やお弟子さんを抱えて。倒れた時には夫と不倫関係にあった助手(桃子)にピンチヒッターを頼んでました。

彼女ほど人生で多くのものを手にしている人っていないんじゃないかと思えました。とにかくショックがあるたびに心の器を広げて、愛のサイズを大きくしてきたようです。男よりも男らしいかも。闘い方が手練れの武士みたいです。

 

このレベルで大きな愛で生きている人(=喜久江)って、パートナーになるには同じくらい度量のでっかい男の人じゃないと無理なんじゃないだろうか?

夫婦とかパートナーって真反対か同質の人が多い。真反対の場合は双方に求められる努力が質的にも量的にも多い気がする。同質同士で結ばれるほうがラクかも?けど両方が未熟だったら長くは続かないかもね。

 

喜久江さんの場合は自分と同格の相手でなく、可愛いペットみたいな男性を夫にすることにしたようでしたが。

(餌付けしてるところ見ててペットと飼い主みたいだなって感じたんです)

 

お話が進むにつれて、最後は愛のスケールが大きい方が勝ってしまう。当人は勝ち負けとか考えてないし、常に最善を尽くしているって感じなんですけど。負かそうとしてなくても勝ったような図式になってしまう。そして、スケールの大きい人に触れると、愛が小さい方は否が応でも影響を受けてしまう。そんな展開があれよあれよという間に繰り広げられていきました。

 

私は読みながら「あらー」とか「ほえ~」「ひゃー」みたいな声にならない声をあげていた驚きアセアセ
 

不倫騒動ってときどきニュースになっているけれど山田詠美さんが料理するとこんな風になるんだなーって感動でした。

登場人物みんなが喜久江さんのでっかい水槽の中で泳いでいるみたいでしたスター

 

yucca.