細野ベース8 矢野顕子(2) | ブルー☆ドリーム☆ブルー

細野ベース8 矢野顕子(2)

細野ベース8


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☆「カタルンカララン」(矢野顕子)
〔Words:菊地まみ、HOOTA&AKKO/Music:AKKO〕


☆「トキメキ」(矢野顕子)
〔Words&Music:AKKO〕


☆「WALK ON THE WAY OF LIFE」(矢野顕子)
〔Words&Music:AKKO〕


アルバム『東京は夜の七時』(矢野顕子)より、1979年4月25日発売。


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Drums&Syndrum:Yukihiro Takahashi
Bass:Haruomi Hosono
Guitar:Masaki Matsubara
Piano&Rolland JP-4:AKKO
Polymoog、Arp Oddsey、Fender Rhodes、Korg PS-3100&Cow Bell:Ryuichi Sakamoto
Percussion:Motoya Hamaguchi
Chorus:Minako Yoshida、Tatsuro Yamashita&Motsu
Rolland MC-8 JP-4 Operation:Shigenori Kamiya



前回に引き続き矢野顕子さんの作品から細野ベースを選びました。


ライブアルバムです。


中野サンプラザ(1978年9月26日)と渋谷公会堂(日付は不明)で行われた『ト・キ・メ・キ』コンサートを編集したもの。

とにかくアルバム全曲聴いてもらいたい奇跡ともいえる名演・名セッション。

1曲だけ選曲するはずが、アルバム収録ラスト3曲を選んでしまいました。
どうしてもこの流れを聴いてほしくて・・・。


最初の2曲のオリジナルは矢野顕子さん4thアルバム『ト・キ・メ・キ』(1978年9月5日発売)収録曲で、
「カタルンカララン」がWILL LEEのベースとRICK MAROTTAのドラム。

「ト・キ・メ・キ」がFRANK BLAIRのベースとSTEAVE JORDANのドラム。

NY録音、一流ミュージシャンによるレコーディングなんです。

このオリジナルアルバム『ト・キ・メ・キ』のメンバーは、このコンサートに参加していません。

しかしながら、NYセッションに負けず劣らず素晴らしいグルーウ゛を日本のミュージシャンがライヴで再現しています。

奇跡というのは、まずメンバーの豪華さ。

上記のようにリズムセクションはベースが細野さん・ドラムが幸宏さん・キーボードが教授というようにYMOの三人、コーラスは山下達郎さん・吉田美奈子さん、ギターは松原正樹さん、パーカッションは浜口茂外也さん。


タイミングも奇跡的で、
このコンサートが行われていた時期は1978年9月頃、
以前紹介したYMOの1stアルバム「イエローマジックオーケストラ(日本盤)」が1978年11月25日発売ということでYMOが世に出る少し前のコンサートなんです。

裏話としてはこのコンサートをするとき矢野さんが細野さんにベースを弾いてもらいたくて、まず依頼し、
ドラムはどうしようかと細野さんに言ったら“最近、高橋ユキヒロって元ミカバンドやってたのと一緒にやってて、すごくいいから”と推薦され、
キーボードも坂本って芸大の学生なんだけど細野さんがいいっていうならということで・・・、
みたいな感じでこのメンバーになったみたいです。

細野さんの4thソロアルバム『はらいそ』の中の「ファムファタール~妖婦」のレコーディングに教授と幸宏さんを呼んだのがYMO結成のきっかけになったのはファンとしては有名ですが、そのAL『はらいそ』のレコーディング期間は1977年12月~1978年1月に行われてますので、

つまり、細野さんが教授と幸宏さんをメンバーに選びYMOを結成し、その数ヶ月後、矢野さんがコンサートを開くのでベースを細野さんに依頼したことにより、このメンバーでのライヴになったわけですね、この前後にティンパンのコンサートもあったし、
その後のYMOのワールドツアーなどにも矢野顕子さんが参加していくことになったり、また矢野さんと教授との結婚(矢野顕子さんはこの時、再婚)もありましたし。

また、YMOブレイク後は細野さんと達郎さんや美奈子さんとの接点も次第に少なくなっていきますから、

そう考えると絶妙なタイミングの奇跡的なコンサートなんですよ。


まさにYMO前夜の夢の共演。

では本題、ベースについてですが、

最初の2曲はオリジナルにのっとりながら自分の色を出しています。
これは幸宏さんのドラムも同様です。

「カタルンカララン」というのはサビが二つ合わさって作られたような面白い楽曲で、パートチェンジも斬新。

幸宏さんの細かいロールを使ったドラムパターンに、隙間を生かした細野さんのベースパターンが重なり、ちょっとレゲエ調という感じなのかなぁ。

途中、オクターブベースを混ぜてたり

エンディング近くで細野さんが矢野さんとユニゾンで歌ってる、歌わされてる?のもほのぼのとしますw。


「ト・キ・メ・キ」のオリジナルバージョンでは上記のようにFRANK BLAIRの弾く2小節単位の印象的なR&B調のベースリフによりグルーウ゛が生み出されているんですが、

コンサートのほうが早いテンポなんですよ。
細野さんはそのオリジナルのベースリフをちゃんと弾きながら感覚で変化させて遊びを入れてますし、
幸宏さんの正確な16ビートのハイハット・4つ打ちバスドラのパターンはその後の「RYDEEN」を彷彿させます。


松原さんのギターのカッティング、教授のシンセ、矢野さんのボーカルと達郎さんと美奈子さんのエモーショナルなコーラスが重なるコーダ部分の盛り上がりは圧巻!
エンディングの切れの良さ、ほんとに素晴らしい油の乗った全員の演奏です。


注目はラストの「WALK ON THE WAY OF LIFE」。

8小節のパターンで繰り返す楽曲なんですがスタジオ盤には収録されてない曲。

コードとか決め事だけがあって、あとはみんな自由に演奏してる感じです。


目玉は途中、矢野さんがメンバーの名前を紹介してそのメンバーが16小節ずつソロでまわしていくんです。

松原さんのギターソロのあと、
「ベース細野晴臣!」
って矢野さんが言うと細野さんがチョッパー(スラップ奏法)でソロ演奏!

その後、教授が紹介されプロフェット5でソロを弾き、次に浜口茂外也さんがパーカッションソロ、次に矢野さん自身がピアノソロ、次に幸宏さんがドラムソロ(シンセドラム)、そのあとコンピューターのシーケンスからまた全員で演奏、コーラスの達郎さんと吉田美奈子さんを紹介、そして全員でエンディング・・・。

因みに、細野さんが紹介されソロが始まるとき一番会場が盛り上がります。
それだけ細野さん以外の参加ミュージシャンはみんな無名に近かったんだと思われます。


それにしても細野さんがベースソロを弾くというのは非常に珍しく、昔のティンパンアレーのコンサート映像でちょこっとソロを弾いていたのもあったんですが、CD媒体で残っているものは無かったと思われます。

ただ、最近のblog記事”でも書いたように、「さとがえるコンサート」で細野さんのソロがありまして、このコンサートツアーの様子はCD化されますので、カットされなければ細野さんのソロが再び音源で聴けることになるかと思われます。

また、コンサートは本日WOWOWで14:00に放送されますので観れる方はチェックしてみて下さい。


再び『東京は夜の7時』に話戻します。


他のメンバーのソロのときの細野さんのベース演奏にも注目して下さい。

パーカッションソロとかドラムソロのときは、そちらを聴かせるためにほとんど弾いてないんですが、矢野顕子さんのピアノソロのときはかなり弾いてますw。
この辺は楽曲のことを考えてるのがわかります。


まだまだ矢野顕子さんの作品には細野ベースの名演が沢山ありますので、いずれ紹介します。


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