本当のことを言えば、僕は決めていた。今から彼女と共にいることが真実となるだろう。彼女の信頼を得るのが不可能だとしても、僕は彼女を疑うようなことはしたくない。


 「すまない」


僕はそう彼女に言った。その一言は、これまでの僕を彼女が知るかぎり、より誠実に聞こえただろう。不運にも、僕は何とかささやかながらも謝ることだけはできた。


 「すごく失礼な態度を取ってしまって。でも、こうした方がいいんだ。本当に」



 もし僕がこのまま失礼な態度を取り続けていたら、彼女にとっては良かっただろうね。でも、僕にそれができる?



 彼女の瞳は開けられたが、まだ警戒している。



 「意味がわからないわ」



 僕は間違いが起きないよう彼女に理解させようとした。


 「僕たちは親しくならない方がいい」


これで、彼女には理解できたはずだ。彼女は頭がいい。


 「僕を信じて」


 彼女の目は厳しくなり、以前にも彼女のこの台詞を言った事があると僕は思い出した―――約束を破る前のことだ。彼女が僕と同じタイミングで歯を食いしばった事にたじろいだ―――彼女もしっかりと覚えているようだ。



 「もっと早く気づかなくて、残念だったわね」


彼女は怒って言った。


 「後悔しなくてすんだのに」



 僕はショックで彼女を凝視した。


 彼女は僕の公開の何を知っているっていうんだ?



 「後悔だって?何を後悔するんだ?」


僕は問い詰めた。



 「あのイカれたバンに私を押しつぶさせなかったこと!」


彼女はピシャリと言い放った。



 僕は凍りつき、唖然とした。



 どうしてそんなことを考えるんだ?彼女の命を救ったのは、僕が彼女に出会ってから、彼女にしてきた事の中で喜ばれることだろう?何ら恥じるようなことじゃない。それに僕が少しでも存在している自分に喜びを感じられた。彼女の香りに初めて捕まった瞬間から、彼女の生命を守るために僕は戦っている。なのに、どうして彼女は僕のことをそんなふうに思うんだ?どうして僕の善行を台無しにするようなことが言えるんだ?



 「君の命を助けたことを僕が後悔しているとでも?」



 「そうよ」


彼女は言い返してきた。



 僕の意図への彼女の考えは、僕を煮えくり返させた


 「君は何もわかっていない」