会話にイライラしすぎて、アリスの意識を頭から追い出そうとした。


 僕は、あまり良くない雰囲気の中にいた―――見ため以上に張り詰めている。ジャスパーだけがどれほ僕が固くなっているか気付いていた。


 そして感情と家族の雰囲気による影響の両方をジャスパーが持つ特別な能力で、僕のストレスを発散させようと思っている。彼はこの雰囲気の陰に隠された理由を理解してはいなかった、そして―――僕がこの数日間にひどく不快な雰囲気にさらされて以来―――彼はそれを軽視していた。



 今日はきつい一日だった。パターンとしては以前よりもきつい。


 僕自身がライバルとして認めなかったベラの取り巻きのひとりであるマイク・ニュートンは、一日中ベラと話をするつもりだ。


 ベラが選択したダンスは、相手と接近する範囲のもので、彼はベラが自分に申し込んでくるとかなり楽しみにしている。


 その彼女は、彼の期待に応える気はさらさらないようだけれど。今、彼は背後に居心地の悪さを感じている―――彼が僕以上に不快な思いをしていることに、僕は楽しんでいた―――なぜなら、ちょうどジェシカ・スタンリーがダンスのことで彼に話しかけてきたところだからだ。


 彼は「いいよ」と返事をしたくない。ベラが自分を選んでくれると期待している限り(ライバルを押しのけて勝利したことが証明されるまで)、彼は「だめ」とも言えない、最後にはダンス相手もいなくなる。


 ジェシカは彼の躊躇に傷つき、その理由を推測してベラを憎んだ。ふたたび僕はジェシカの怒りとベラの間に、割り込んでしまいたいと思った。僕は今以上に本能を理解したが、動けなかったことで挫折感だけが残った。


 こんなことを考える時がくるなんて!これほど恥をかいたことはないくらい、僕はささいな高校生活のドラマの中にどっぷりつかっていた。