マイク・ニュートンは最も僕を悩ませる。


 こんなにも腹立たしく思わせる普通の人間という種族に、今まで誰が夢を抱いていただろう?公平にみれば、その悩ませる少年に、僕はいくらかの感謝をするべきだろう。他の誰よりも、彼はあの子に話しかけているのだから。


 彼らの会話を通して、僕は彼女について、とても多くの事―――僕のまだ知らないことを―――を知った。


 だがこれに反して、この計画におけるマイクの手助けは、より僕を悩ませるだけだった。僕はマイクに、彼女の秘密を開けるひとりになって欲しくない。僕自身がそれをやりたいと望んでいる。


 彼女がうっかり口を滑らしてもらしてしまった些細な明かされた真実に、彼には決して気付かない。これは救いだった


 彼は頭の中で存在しないベラ―――まさに彼好みの少女―――を作り上げている。


 ベラは他の人間とはるかに違い利他的で勇敢であることに、彼は気付かなかった。彼女が話す異常な考えの話を聞かなかった。彼女が母親の事を話したとき、むしろ離れて暮らす子供のことを話す母親のような声だったことに、彼は気付かなかった―――愛していて、甘くて、少し楽しく、そしてとても過保護に。彼女が彼のとりとめなくしゃべる話を興味深そうにしている振りをするとき、彼は彼女の声に辛抱強さを感じなかった。そして、辛抱が隠されたいたわりの気持ちを推測する事もできなかった。



 マイクとの彼女の会話を通して、僕が持つベラのリストに、最も重要なすばらしいものを加えることができ、彼女の本章を知ることができた。


 彼女はいいヤツだ。


 他のことも―――親切で、控えめで、愛情があり、そして勇敢で―――全て合わせても、彼女はよい心を持ち、よいことを考える。