私の手を離れた音楽は意味を持たない。
聴き手の思うがままにに想像し、汲み取っていただければ。。
と思っている。
けれど、この詞にはこんな物語もあるんだよって、
皆と想いを共有できたらとも思った。

福井の頃からの友人。
Blu-Swingの「ひとひら」という楽曲の歌詞を紡いでくれたバンバさん。
先日、その原風景をメッセくれました。
良かったらご覧ください。




以下、バンバさんより☆

↓↓↓

せっかくなので(?)
「ひとひら」の原風景についても
忘れないうちに書いておきたいな、と思って

今までずっと
何かの形にしたい

思っていた風景が
私にはあって

それは
小さい頃から一緒に住んでいた
祖父が死んだ日の、春の朝の風景で

ちょうど
桜のつぼみがふくらみ始めたころ

朝の空気は
まだまだ冷たく

病棟から屋上に上がり
ひんやりとした空気に頬を刺されつつ
体を手すりにもたせかけ
胸の中にぽっかりと空いた穴から
しくしくと悲しみがあふれ出しているとき


ふと
下の方から

わたしも いのちだ

という
それはもう、言葉、というより
響きのようなものがわき上がってきて

ハッと目を宙にやると

あれは、ちょうど階下にあった祖父の病室から
祖父のたましいが呼びかけてくれたのか

あるいは、わき立つ春の気配が
桜の芽吹く気配をはらみ
土から芽を出す植物の息吹をはらみ
立ち上ってきたものだったのか


分かりませんが

視界が
その響きの泡でいっぱいになったのでした

その向こうには
まだ目覚めきらない
朝の住宅街が眠そうに立ち並び

その、もっと向こうには
朝靄と桜の淡いピンクにぼんやりと霞がかった山

湧きやまぬ生命のあぶく越しに
その風景を眺めていました

そのとき以来
知らぬ間に
自分がすでに手にしていた

いのち

という名のバトン


時々目をやるようにしています

って
じいちゃんの話かい!笑

そう、じいちゃんの話、
で、いのちの、話

生きていこう

ただ
それだけの
決心が詰まった歌詞です

この曲の音源をもらったときに
ユウリちゃんに曲のイメージを聞いてみました

「桜の花びらが降り注ぐようなイメージ」

ああ
この風景を書かせてもらおう

その後、2011年の震災

有志のミュージシャンが集まり
被災者の方達のために何かできないか

立ち上げた企画「桜作戦」にBlu-swingが提供した楽曲がこの「ひとひら」でした

「ひとひら」に込めた意味については
ここに初めて書いたもので
誰にも伝えたことがなかったのに

「桜」と「いのち」があまりに重なり合うその符合に
ぶるっと身震いしながら

必然と偶然を
ぼんやり思ったりする次第

今日もまた、生きていきます。


-------------------------------
ひとひら

作詞/Chie Bamba 作曲/中村祐介

赤い花に隠した 
あわい夢の一片
朝の白い気配に
こぼれてあふれてゆく

ほら まぶたとじて
息をして 風を感じて
空に満ちる あなたの声
胸に響くよ

赤い花の宿した
短い夢の記憶
まるで町に描いた
幾千の蜃気楼

ほら まぶたとじて
息をして 腕をのばして
遠い空に 白い雲に
指がふれる

まぶたとじて
両手広げ 雲をつかんで
鼓動する 
重なり合う 夢の一片
空に満ちる あなたの声
胸に抱いて
風に溶ける あなたの声を
たどりつむぐ 永遠に

息をして 胸に抱き
あなたの声 永遠に

-------------------------------


今日も良い夜を☆