☆☆ 霞の衣 ☆☆霞の衣・かすみのころも昔の人は春霞のことをこう呼びました霞の衣……野山をふんわりと覆う・おおう 透き通ったベールは春をつかさどる天女の衣装というわけです天女の名前は佐保姫・さほひめ壮大な薄衣・うすぎぬをまとってときおり物憂げに佇む・ものうげにたたずむ衣の中ですべての命がうっとりとまどろみ始めます厳しかった冬の鮮明な記憶さえおぼろにかすませて……しばらくはそんな春に身を委ね・ゆだねましょう今を包んでくれる快いぬくもりの中で新たな力が萌え出るのだから