せっかくなので、少しずつ書こうっと。
まずは、大分前に買って大分前に読み終わったこれから。
Stieg Larsson 「The Girl with the Dragon Tattoo」
The Girl with the Dragon Tattoo (Vintage Crime/Black Lizard)
クチコミを見る
スウェーデン人作家スティーグ・ラーソンによるサスペンス・ディテクティヴ・ノベル。
経済ジャーナリストで、経済誌「ミレニアム」の編集者で経営者の一人でもある、マイケル・ブロンクヴィスト(以降、登場人物の読み方は基本的に全て英語読みにします。スウェーデン語でなんと読むのか分からないので)は、大物実業家ヴェンナーシュトロームが不正を働いているという情報を昔の学友から聞き、それを暴露した本を出版するが、ヴェンナーシュトロームから名誉棄損で訴えられた上に敗訴してしまう。
失意の底にいるマイケルの元へ、スウェーデンでも有数の大企業、ヴァンガー・グループの前会長ヘンリック・ヴァンガーから、奇妙な依頼が届く。
それは、36年前に、ヴァンガー一族が住む島から蒸発した(失踪したのか、殺されて死体を隠されたのかすら不明)、当時14歳の少女、ハリエット・ヴァンガーの行方について調査することだった。
「警察がさんざん探して見つからなかったのに、いまさら素人の自分に何ができる」と乗り気でなかったマイケルだったが、「協力してくれればヴェンナーシュトロームの弱みを教える」というヘンリックからの申し出に惹かれ、依頼を受けることにする。
閉鎖的で、過去の事件をほじくろうとするマイケルに敵意さえ向けるヴァンガー一族の人々。地元紙の根拠のない中傷により、マイケルへの嫌悪感を露わにする近隣住民。
敵だらけの中、からまった糸のような事件の調査は遅々として進まない。それでも根気よく調査を進めるマイケルだったが、一枚の写真がブレイクスルーとなり、やっと糸口が見え始める。マイケルは、さらに調査を進めるための優秀な助手として、ヘンリックが自分に調査を依頼する前に、自分の身元を徹底的に洗いあげた調査員であるリスベス・サランダーに助手を頼む。
マイケルの洞察力とリスベスの異常な調査能力・ハッキング技術により、過去の暗い秘密が暴かれていくが、同時に、二人の身に危険が迫る…、というお話。
実はあまり期待しないで読み始めたのだが、面白かった。
まず、登場人物の魅力。世間の枠から外れながらも、明晰な頭脳と人間的な魅力を備えたマイケル・ブロンクヴィスト。彼の推理力は有名で、「カッレ・ブロンクヴィスト」というあだ名が付けられるほど(最初この意味が分からなかったのだが、どうやらスウェーデンにも「名探偵コナン」のような番組があるらしく、その主人公が「カッレ・ブロンクヴィスト」という名前らしい。その主人公と名字が同じということで、マイケル自身「カッレ・ブロンクヴィスト」というあだ名が付けられている、ということのようだ。無理に訳すなら、「名探偵カッレ」といったところか)。
そして、24歳の天才ハッカー、リスベス・サランダー。コンピュータとハッキングの知識と技術はスウェーデンでもNO.1を自負している彼女、ある種の「アスペルガー」もしくは「サヴァン症候群」のようで、情緒的には非常に不安定だが、非常に高い知性と文章能力を持ち、見たものを写真を写すように記憶する能力を持っている。
肉体的には貧弱だが性に対しては開放的な意識をもっており、気分のままに男とも女とも関係を持ってしまう。全身にタトゥーがあり、「ドラゴン・タトゥーの女」というのは彼女のことを指す。
この二人を中心に、様々な「異常な」人間が登場し、福祉国家として有名なスウェーデンの病巣をえぐる。
そしてまた、プロットが複雑。ある種の「密室」になっていた島から、どのようにしてハリエットは消えたのか?ヴァンガー一族の誰が味方で、誰が敵なのか?そして、犯人はヴァンガー一族の中にいるのか?など、推理小説好きなら食いつく要素満載。
さらに、この小説は「福祉国家」スウェーデンが抱える社会問題も突きつける。
「男女平等社会」のイメージが強いスウェーデンで、実際はいかに弱者が虐げられ、女性が性的暴力にさらされているのかを、淡々とではあるが印象的に見せつけられた。
知らなかったのだが、この作品は三部作で、あと二作あるとのこと。二作目の「The Girl Who Played with Fire」も買ってキンドルに入れたので、これから読みます。面白い長編推理小説を探している人には絶対におススメ。

