インフルエンザ3日目。
熱はようやく37度台まで下がったが、ちょっと油断するとすぐに上がる。
ほとんど丸2日寝っぱなしなので、腰が痛い。
それに、疲れているわけでもないので眠れない。
仕方なく、横になりながら本を読んでいた。
Mitch Albom、「The Five People You Meet in Heaven」
完全にネタバレです(ミステリーでもないのに変な言い方だけれど)。
The Five People You Meet in Heaven83歳の老人エディは世の中に何の希望もなく、遊園地のメンテナンス係の仕事を毎日淡々とこなして過ごしていたが、ある日事故であっけなく命を落としてしまう。死んでしまったエディは気づくと天国にいた。その天国で彼は自分の人生にかかわりの深かった5人の人間と出会い、その5人から自分の人生の意味を学んでいく…という物語。作者のミッチ・アルボムは「モリー先生との火曜日」で一躍有名になった作家だ。この物語では、冒頭に偏屈な老人エディが現れ、彼の死後、5人の人々と出会うことで、彼がそんな人生を送るようになった原因が一つずつ解きほぐされていく、という構成になっている。ある意味ディケンズの「クリスマス・キャロル」に近い。「モリー先生…」の方がハートウォーミングなヒューマンドラマだったので、これもそんな感じかと思って読んでみたが、途中で挿入されるエディの過去はなかなかにエグい。フィリピンで自分達を捕虜にした日本兵と思しき敵。その敵に無抵抗の状態で惨殺される仲間。脱走時に半ば狂気にとりつかれて行った放火と破壊。地雷によって飛び散る肉片…。その戦争体験の描写は苛烈だ。また、小さい頃からエディに愛情を示そうとしなかった職人気質の父親は、そんな戦争体験で心身に傷を負い放心状態に陥ったエディを全く理解しようとせず、怠け者と決め付ける。さらに、最大の理解者でエディがこの世でただ一人愛した妻は、癌によって若くしてこの世を去ってしまう…。次々につらい体験をしたエディは次第に打ちひしがれ、晩年には自分の人生を価値のないものと断じるようになるのだ。天国の五人はそんな彼に優しく語りかけ、彼の人生が意味のあるものであったことを説き、心の中の憎しみや悲しみを解き放つように勧める。とまあ、このような話で、「死んでしまった後に人生の意味を知ってどうなるんだろう」という疑問は拭えないものの、全体としては結構感動的な物語になっている。特にエディが最愛の妻と天国で再会し、偽りのない自分の愛を妻に語る場面は、読んでいて不覚ながら涙が出てきてしまった。体調が悪くて気が弱っているせいもあるのだろう。この本、「天国の五人」というタイトルで邦訳も出ているので、心の暖まるお話を読みたいという人はぜひどうぞ。
天国の五人