商品としての「不幸」 | ディーダラスのひこーき工房 ~Dedalus's Aviation Studio~

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「ホップ、すてっぷ、ジャンプしたらそのまま飛んでいけ!」
 "Hop, step, jump and fly away!" This is the studio to build "airplanes" from materials in the storehouse in my brain...

「おふくろさん問題」で揺れる森進一が、コンサートをしたそうだ。森進一に興味はないが、この記事はちょっと面白かった。

「歌手の森進一(59)が11日、福岡県飯塚市の嘉穂劇場で、作詞家・川内康範氏(87)との“歌詞改作騒動”ぼっ発以来、初のコンサート「2007森進一オンステージ」を開いた。もちろん「おふくろさん」は歌わず、当面の封印も宣言。曲の合間のトークは、ほとんどが自身の苦労話となり、度重なる不幸に客席のファンが思わずもらい泣きをする一幕もあった。」「これでも川内氏は“三文芝居”と切り捨てるのだろうか?オープニングで代表曲『冬のリヴィエラ』を歌い終わると、森は『皆さまの応援をいただいて、涙が出そう…』と話し、目頭を押さえて絶句。1200人のファンで満員となった会場から『頑張ってー!!』という大声援が飛んだ。 森は一連の騒動についてファンに説明。『『おふくろさん』の件でご心配をおかけしました。不器用な生き方しかできない、僕の不徳の致すところです。申し訳ありません』と話し、『しばらくは(曲を)封印させていただきます』と宣言。この日はほかの川内氏作詞の歌を歌わなかった。 その後も、曲間のトークは不幸話の連続。『人生には3つの坂があると申しますが、この3年は『まさか』ばかり』。元妻・森昌子(48)との離婚のほか、自らの難病も話題にした。 『C型肝炎で苦しんでまして、僕の型はもう治らないと言われました。それでもわずかな望みをかけてインターフェロンでの治療を始めて、治ったんです。医者には『強い薬なんで、ノイローゼとかうつ病になります』と言われて、実際毛は抜けたし、なんで生きてるんだろうと思ったりする時期があって…』 次から次へ繰り出される不幸話。ついには、客席で号泣するファンも続出した。 報道陣への対応は一切なく、森は終了後、抜け道を通って逃げるように引き揚げた。」Yahooニュースより転載(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070311-00000023-dal-ent)このニュースの何が面白いって、高い金をとっておきながら客にさんざん不幸話を聞かせるというコンサートの存在が。まあ、「おふくろさん」の話はいいだろう。今話題のことだし、ファンが心配しているだろうからね。でも、そのあとの「3つの坂」の話はなんだ?結婚式の披露宴で上司が話すスピーチのようだ。ほどよくオヤジギャグが入っている。さらには薬の服用でうつになる話。こんな陰気なコンサート、誰が聞きに行きたいのだろう。それを聞いて涙を流しながら「頑張れー」と声援を送ったお客さん。彼らは一体どういう人たちなのだろう。ワイドショーの映像を見ると、皆すがすがしい顔で会場を後にしていた。なんだこの世界は。ここではたと気がついた。彼らはきっと、「涙」を求めて会場に来たのだろう。本来なら「おふくろさん」を聞いて、遠く離れた母のことを思って泣くはずだったのだが、それが叶わなくなったので、せめて森進一の不幸話で泣こう、と。そういうことに違いない。ここではもう涙を流すための「不幸」が商品となっている。客は「不幸」を見て自分の中から同情心と涙を絞り出すことで快感を感じているのだ。素晴らしい。この、気色悪くもディープな世界。これはこれで、プレイとして成立している。これからこの種のものを「同情プレイ」と呼ぼう。森進一といいマイケル・ジャクソンといい、ファンというのはとにかく本人がいてくれて、全身全霊をかけて相手に感情移入し、脳内麻薬がどんどん出てくれさえすれば満足なのだなあ。ところで、30も半ばに差し掛かってきたけど、いまだに演歌・歌謡曲は好きになれない。いつか好きになる日が来るのだろうか。そして、「同情プレイ」にハマる日が来るのだろうか。それちょっと嫌だなー。