とうとう発売、「機動戦士ガンダム the origin 第13巻 ルウム編・前」。俺の大嫌いな13という数字にふさわしい、陰鬱な巻だ。
とりあえず、「いい年こいてガンダムって…」という声には耳を塞いで感想を書く。
機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (13)個人的にとても楽しみにしていた、「ルウム編」だ。「黒い3連星」と「赤い彗星」の名を一躍有名にした戦争として、もう何十年も前から語られていた「ルウム戦役」。今まで間接的にしか語られていなかったあの戦争を、とうとう目撃することができる、と期待に胸を膨らませて本を開いた。しかし、そこに描かれていたのは、英雄達の活躍という華々しく格好の良いものではなく、「戦争の狂気」だった。戦争の火蓋を切り、ジオンを狂気の戦争へと駆り立てるギレン、皮肉な目でそれを見るキシリア、良心の呵責に耐え切れず都合の良い理屈で自己欺瞞を図るドズル、戦争の華々しさにばかり心を奪われるガルマは、みなことごとく狂気に身を任せているように見える。辛うじて正常な判断力を残しているように見えるデギンも、一旦狂気に駆られて動き出した国家の動きを止めることができない(それでもなんとか体を張って戦争を止めようとしたデギンがどうなったか…それはまた後のお話)。狂気が正常となる世界では、人間性は蹂躙され、無数の無辜の民は、どんなに夢を持とうと、全て無価値なものと断ぜられて死んでいく。いかなる大義名分を掲げようと、戦争は非情な殺戮以外の何物でもない。この第13巻は、読み終わった後にそんな思いを強くさせる。「ルウム編」を全て読み終わった後に改めて第1巻を読めば、きっとこの戦争の全体像がより鮮明に見え、そこに巻き込まれたアムロたちの恐怖がよりリアルに感じられてくることだろう。