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元来いたずら好きな私。この癖が始まったのはいつからだろう。

楕円に近い野菜や果物を見ると、無性に目と口をつけたくなる。

紙に目、口を描き、色を染めて切り抜く。テープを輪にしてそれを貼る。

つけたくなるのには、いくつか条件があるのだが

・単体で置いてある
・包装がされていない
・形が楕円もしくはふくらみを帯びている
・そのまま口に入れることがない

これが揃うと、私の『つけたい病』が始まるのだ。

逆に言うと、揃わなければ何も感じない。だからスーパーの青果コーナーでは問題がない。




小学生の頃は母が庭で育てたビワに、学生になると一人暮らしをしている友達の家の台所で見つけたナスに、目と口をつけた。

私のおかしな癖を知る身近な人は
「またこんなことをして」
と呆れつつも許してくれていた。

野菜も果物も殆どの場合、冷蔵庫に入っているか二、三個が袋に入っているのが常だ。発症の確率はごくごく低かった。





それが社会人になった時のこと。入社後半年で移動になり、新しい人間関係が始まったその矢先だった。

仕事ができてキャリアのある女の先輩がいた。上からの評価も高く、人望も厚い。普段は優しいが、それ故に怒らせてはいけない存在。
彼女と私は部署が違うため、会話も挨拶や単純な質問だけだった。


ある日、彼女の部署への通達を持って行く機会があった。文書は彼女が受け取ることになっている。


あれ、いないや。


彼女は不在だった。おそらく他の部署に行っているのだろう。

しかし、私は見てしまったのだ。彼女のデスクの上にあるポツンと置かれているキウイを。

隣のデスクの社員に聞くと、他の社員が趣味で育てたものを部署内で配ったらしい。


ウズウズウズ…。

『つけたい病』発症。


どうしようかなぁ、黙っていれば分からないかなぁ。

急いで自分の部署に引き返し、貼り付けセットを作成する。テープも準備済みだ。

案の定彼女は戻っていなかった。周囲の目を気にしながら作戦決行!


すっきりした私は何食わぬ顔で彼女の部署を後にした。





次の日、前日のいたずらを忘れて出勤した私は軽く目眩がした。



私のデスクに……



昨日キウイに貼った目と口が置いてある………。



ヤバいなぁ、怒ってるかなぁ。謝りに行った方がいいのかなぁ。


食べ物に目や口はやっぱりまずかったかな。思い足を引き摺りながら彼女の部署に向かう。

先に彼女が私を見つけた。

「顔つけたでしょう?」

…はい。

「おもしろかったからこれあげる」

お菓子を渡された。

あれ、怒ってない?むしろ楽しんでくれた?


味をしめた私。その後彼女が私の「おいた」のターゲットになったことは言うまでもない。
現在では大親友の彼女。




私の変な癖が役に立ったのは後にも先にもこの時だけ。怪獣達が真似をすると困るので、今は条件が揃ってもじっと我慢をしている。





でも時々

思いきりいたずらがしたいんだよねぇ…。