ウェイバック -脱出6500km-」
また実話ネタ
しかも第2次世界大戦のポーランド
「あの日あの時愛の記憶」と被るね
あっちはナチス占領地域で収容所から脱走した男女の話
こっちはソビエト占領下で拘束され、シベリアに送られてからの脱出
しかも、その脱走の根底には「愛」

言うまでも無くタイトルにある6500kmは逃走距離のこと
しかも全行程が徒歩
っていうか、最初は極寒のシベリア(@@!
中国に入ってからはゴビ砂漠の縦断
そして、最後にはヒマラヤ山脈の踏破
とんでもない、本当に死んだほうがマシかもしれない逃避行


主人公はポーランドの市民だったんだけど、ソビエトの占領下でスターリン批判の嫌疑をかけられてしまう
もちろん、否定するんだけどソビエト軍は主人公の妻を拷問して主人公に不利な証言をさせる
シベリアに送られた主人公の頭にあるのは…
「拷問に屈して証言してしまった妻は死ぬまで後悔の苦しみを抱えていかなきゃならない。僕は絶対に死んじゃだめだ!絶対にここを抜け出して妻に会いに行くんだ!妻にもう一度会って『僕は君を許してる』と伝えなきゃならない!」
6500kmにおよぶ許しの旅

同行する仲間のうちの一人はアメリカから息子を連れてソビエトへやってきた技術者
こちらもソビエト軍に拘束されるのだが、拷問された息子は死んでしまった
自分がソビエトに来なければ、息子を連れてこなければ息子は死なずにすんだはず
「俺は死ねない!俺は死なない!死ぬよりつらいこの状況で生き抜くことが息子への贖罪だから」
こちらは贖罪の旅

どこまでが事実でどこからが脚色かはわからないけれど、少なくとも主人公に関してはほとんどが実話らしい

6500kmを踏破して逃げ切っても故郷ポーランドはナチスとソビエトに分断されたまま
ナチス崩壊後はソビエトに単独支配され、ワルシャワ条約機構に取り込まれて東欧の鉄のカーテンの向こう側になってしまう
なんと、主人公がポーランドに帰国するのは1980年代の東欧民主化運動を待たなければならない

タイトルにある6500kmの距離に目を奪われがちだけど、40年を超える時間にもびっくりだ


10年ほど前に入院したとき、隣のベッドのおじいさんが戦後に満州で拘束されてシベリア抑留された元日本兵だった
凍傷で指が崩れ落ちた戦友の話とか聞いてたのでこの映画のシベリアシーンがとてもリアルに感じた



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