「モスグリーンのズボンが、消えた!!」
来月 君の弟が産まれたら、季節的に丁度いいかな!?と思って、
頭の中に描いていたモスグリーンの上下揃ったスーツ。
だいぶ前に近くのテーラーで仕立てたもので、普段は
あまり着ない よそ行き用のスーツだ。
上の背広はクローゼットの中にあったのだが、ズボンの方が
いくら探しても見つからない!!
「ははぁ!並行世界(パラレル)に移行してしまったのかな!?」
と、頭の中を一瞬よぎる。
安部公房の小説「壁」の中のシーンに、
サラリーマンの男が会社に着く前に、背広だけが先に着いて
同僚とお喋りをしているという場面があった。
意識だけが先に会社に着いて、体は後から会社に着くという
60年以上前の当時としては、だいぶアバンギャルドな小説だった。
「まぁ、どっちにしろ、このモスグリーンの服は着るな!!」という
無の世界からのメッセージなのだ!!と、僕は受け止めることにした。
君が産まれた時の初お宮参りの折りも、テーラー製のベージュ色の
スーツを着用して行ったのだが、思えばあの時も
そのスーツに合わせたミスタージュンコのズボンをはいて行く予定だったが、
その時もそのミスタージュンコのズボンは消えてしまった。
それで僕は、多少ヨレヨレになった感の他のベージュ色のズボンを
はいて行ったことがある。
それが今年になって、ミスタージュンコのズボンがクローゼットの中に
きちんとハンガーにかかっていたのを、発見してしまったのだ。
あの時、あれほど一所懸命探した時はなかったのに!!
何故、今頃?
きっと並行世界から、戻って来たんだろう!!
僕らは人間🧍であれ、物資であれ
並行世界(パラレル)の中を、常に横移動しているのかもしれない。
すぐ隣(横)に、そんな世界が存在しているなんて、誰も知る由がない。
だいたいにおいて、人は死んでしまった人を想う時、
天(上)の方ばかり見ているけど、並行世界(パラレル)は、
きっと横にあるんだ、と思う。
だから消えたズボンも、隣(横)の世界にいるもう一人の僕が、
使う用事があって、パラレルに持っていったんじゃないかな!?