こころ塾 同情 | blondcoco の人生相談

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朱夏世代(30代、40代)の うつや思春期特有の悩みが 得意分野です。


数多(あまた)の恋もうつ病も、その始まりは同情からであるのかもしれない。

だいぶ昔に読んだ、山本周五郎著「柳橋物語」のナラティブを紹介しよう。

おせんという名の少女が、江戸の指物師(家具職人)の親方の所で、下働き(女中のようなもの)として奉公していた。

そこには、幸太と庄吉という二人の若者が、職人として親方の元で修行していた。

幸太は指物師としての腕もよく、明るく如才なく、親方のお気に入りだった。

庄吉の方は指物師としての腕はイマイチであった上、卑屈な性格であった。

おせんは、親方はどうして幸太さんばかり可愛がるのかしら?あれじゃあ、庄吉さんが可愛相だわ、といつしか庄吉に同情していた。


ある日のこと。庄吉は親方から呼びつけられ、お前は上方(京都、大坂)へ行ってもう少し修行して来いと云われる。

上方への出立の前の晩、庄吉はおせんを呼び出して告げる。

「おせんちゃんのことが好きだ。俺が上方へ修行に行っている間、幸太のものにならないでいてくれ。きっとりっぱな職人になって戻ってくるから、それまでおせんちゃん、待っていてくれるかい?」

おせんは、思わずこっくりと頷いてしまう。


庄吉が旅立ったあと、おせんはこれまで以上に幸太との距離を置くようにしていた。

そんなことを知らず、幸太は相変わらずどこかへ仕事で出かけては、帰って来た時には必ず「ほら、みやげだよ!」と云って、おせんに小間物などを放り投げて寄越すのであった。


数年後、江戸で大火があり、おせんの住む長屋一帯が炎に包まれていた。

幸太はすぐさま駆けつけて来て、病気で寝込んでいるおせんの親(父か母は忘れた)を背負って、おせんと共に逃げてくれた。

だがその途中で、幸太とおせんの親は炎に包まれて死んでしまう。

おせんはあまりのショックで、盲目になってしまうのだった。


それから更に数年後、庄吉が上方から戻って来た。

庄吉はおせんを見て、なじるのだった。

幸太と火事の中、一緒に逃げたことを。

そして「めくらになった女になんぞ用はねえや」と云い捨てて去ってゆく。

その時になっておせんは、ようやく気づくのだ。

ずうっと庄吉のことを想い、待っていた自分が馬鹿だったと。

本当に自分のことを想ってくれていたのは、幸太さんの方だったのだ、と。







うつ病も、同情から始まるのです。

お母さんがうつ病にかかっていると、子供たちはうつ病になるか、喘息になるか、アトピーになるか、そのいずれかになるケースが多いのです。

同情するということは、その人に心を寄せることです。

一見ちっとも悪くない行為のようですが、注意したいものです。