下町です


どーも
最近監視カメラが気になります

なんか、この時代、いたる場所に監視カメラがあるけど、あれってチェックしてるカメラがどれくらいあるんだろう


向こうでリアルタイムでモニタリングされてるって考えたら、気持ち悪いですよね



そんなことを考えてて、思いついた話をひとつ




ブーーーーーー………
独特の機械音の響く、わずか3畳くらいのスペースに、男はいた


男は26歳
フリーター
年齢=彼女いない暦=童貞


職業
スーパーの監視カメラのモニタリング



男は毎日毎日ここへやってきて、どうでもいい監視カメラの映像を、ただただ眺めていた


万引きを見つけても、なにもしない
自分の時給があがるわけでも、なにかボーナスがあるわけでもないからだ


自分に利益が無いことはしない
男はそういう人間だった


そんな代わり映えしない毎日に、男は飽きていた
別に、いつ死んでもかまわない
ただ、なんとなく生きていた


ある日、いつもと同じモニタリング
しかし、男の目は驚愕と悦びで溢れていた


そこには、一人の女性が映っている

彼女の名前は
長野茉利子

21歳
大学生
年齢=彼氏いない暦


しかし、男と茉利子の違いは、その容姿だった


男の容姿は、いわゆる、醜男
肩のしたまで伸びたボサボサの髪の毛
丸い眼鏡に太い眉
いつも同じチェックのシャツ
いつも同じジーパン
スニーカー
痩せていて、身長は180以上
彼は知らないが、スーパーでは『ラピュタ』と呼ばれていた


一方茉利子の容姿

容姿端麗
スタイルも抜群に良い
どこか表情に影があるような、美人である


なぜ、男がいないかと言うと、
相当な男嫌い

自分でも分からないくらいの男嫌いなのだ



男は、茉利子を追うようになった
カメラを通してなら、食い入るように見ても、相手が気付くことはない

男は、そのことに興奮を覚え始めていた


それから、男の毎日は一変した
自分は、カメラを通し、彼女を見ているだけなのに、髪をとかし、メガネはコンタクトに変えた

眉を整え、洋服の雑誌を読みあさり、今まで使うことのなかった貯金で、服を買った


男は、茉利子に夢中になった
茉利子がアルバイトにこないときは、ひたすら茉利子のことを考えていた




次第に、スーパーの監視カメラだけでは、満足できなくなっていく


茉利子をもっと見たい
もっと知りたい



…撮りたい


男はビデオカメラを買った
貯金のすべてをかけて



ストーキングが始まった


茉利子が、茉利子という名前だと知った
茉利子が電車で通ってることを知った
白楽に住んでいることを知った


茉利子の家を知った



テープはひたすらに増えていった
男は、その無造作に積まれているそのテープを見るだけで、悦びを感じた