その日もまた、制服を着て海に行って
夕方頃家に帰っていた。
母から「何時ごろ帰る?」とメッセージが来た。
なんだろうと思った。
家に帰ると、玄関に見知らぬ靴が2足あった。
「担任の先生と教頭先生来てるよ」
母が言った。戸惑った。
学校に行っていないって母にばれた。と思った。
母はその事はなにも言わなかった。
ちょうど私は、就職活動中で、履歴書を提出する期限が迫っていた。
履歴書を書きにだけでも、来てほしい
と言われた。
私は泣いた。担任の先生も泣いていた。
次の日から、別室登校をした。
小さな部屋で、就職面接の為の履歴書を1人で書いた。
担任の先生がおにぎりとペットボトルのお茶をくれた。
私はぎりぎり、高校を卒業することができた。
卒業式の日、たくさん泣いた。
「1番の親不孝は親より先にしぬことです」
担任の先生がみんなに言った。
涙が止まらなかった。
保育園の頃から、卒園式や卒業式で「おめでとう」と言われることが分からなかった。
当たり前のことなのに、なんでおめでとうなんだろう。
と思っていた。
やっと、わかった。
卒業できることが当たり前ではないこと。