料理研究家 沢田けんじの料理びより-キャビア
キャビアといえば世界三大珍味の一つ。皆さんも知っていますね。


何がどうして三大珍味なのかなぜ3つに絞るのかなど疑問はありますが、その辺は置いておいて今日はキャビアのお話です。


一流レストランで映画みたいな豪華なディナーといえば、先ずキャビアから始めるのがいいですね。


氷でよく冷やしたキャビアをそば粉のブリニス(小ぶりのパンケーキ又はクレープのようなもの)の上に銀のスプーンですくってのせ、食べる前にさっとレモンを絞って食べるわけです。


キャビアの粒がはじけるたびに軽い塩味とキャビアの風味が口の中に広がります。


う~ん おいしいですね。


ちなみにうっかりスプーン1杯山盛りで盛っちゃうと、ピンきりですが3000円くらいは行きます。


キャビアはピンきりと書きましたが、高級な物は粒が大きく灰色がかった「ベルーガ」。あとは粒の小さくて黒いオシェトラ、セブルーガの順になります。


これらのキャビアは取れるチョウザメの種類が違います。


また同じ種類のチョウザメでも場所等でかなり出来が違うそうです。


もともとの産地はロシアのカスピ海です。カスピ海はイランにも接しているのでイラン産もあります。


そして近年、チョウザメの数が激減してキャビア不足に陥っています。


チョウザメは長生きする魚で、100年くらい生きます。


その間に何回も卵を産むので、ちゃんと保護すれば絶滅なんて事にはなりませんが、キャビアを取る=チョウザメが死にますので乱獲するとまずい事になります。


ソ連が崩壊する前は国営工場でキャビアを加工していて、漁獲も計画的だったのですが、崩壊後は乱獲でチョウザメの数が激減してワシントン条約により一時、国際間取引はできなくなりました。まずいですね。


そこで世界で養殖の試みがされてます。

養殖できるなら問題なしかというと、そういう訳でもありません。


チョウザメは長生きなだけに成長が遅いのです。

卵を産むようになるまで15年~20年かかります。遠い話ですね。


日本でも養殖しており、キャビアが出来上がっていますが育てているチョウザメがべステルという品種が多いので、あまりいいキャビアにはなりません。


一部ベステルじゃない養殖場もありますが、せっかく育ててるのに残念ですね。


さてこんな状況のキャビア「食べてみたけどあまり美味しくない」と思った方もいると思います。


世界三大珍味(?)でこんなに高いのになぜ?なんて方は、ヨーロッパで食べてみるのがいいです。


キャビアは魚の卵ですから本来、そんなに日持ちはしません。


そこで塩漬けにする訳ですが、輸出用は塩がきつくなって本来の味と香りが薄くなります。


日本向け輸出用は塩漬け+低温殺菌されます。

低温殺菌されるとプチプチした食感がなくなります。


ヨーロッパ向けは防腐剤を入れるので殺菌はしません。ですから食感は元のまま。塩も薄いのでおいしいのです。


おいしいキャビアが食べたければ産地に行くのが一番。


その次はフランスの高級レストラン。


それもダメなら国内産(ベステル以外)の薄塩。


近年はこんなキャビア事情ですが、やっぱりいいキャビアはおいしいですよ。


日本にはイクラもあるからそこまで執着しないかも知れませんが、ヨーロッパに行ったら味わってみるのもいいかもしれませんよ。


料理研究家 沢田けんじ