レイプ疑惑が検察審査会で不起訴相当になったのをいいことに、さっそく「月刊Hanada」(飛鳥新社)や『報道特注』といったネトウヨメディアで復活を果たし、被害者である伊藤詩織氏に対して卑劣な反撃まで始めた“安倍御用ジャーナリスト”の山口敬之氏。だが、このまま事件をなかったことにできると思ったら大間違いだ。実は、ここにきて、国会でこの問題を取り上げる動きが一気に高まっているのだ。
なかでも、11日30日の参院予算委員会では、安倍首相に対して直接、山口氏のレイプ事件ともみ消しについての質問が飛び出した。
福島みずほ・社民党副党首が「『総理』という本を書いたジャーナリストをご存知ですか、面識はあるでしょうか」と安倍首相に質問。続けて「無罪の推定があり、不起訴になっておりますが、逮捕令状が発布され、そして直前に執行されませんでした。このことを総理はご存知でしょうか」とレイプ事件捜査に対する安倍首相の認識を質したのだ。
たしかにこの事件には、安倍首相と官邸幹部、そこに連なる官僚たちが深く関わっている。そもそも、山口氏はTBS時代から安倍首相とべったりの関係を築いてきた番記者で、TBSを退社したあとは福島氏がの質問にも出てきた『総理』という“安倍PR本”を幻冬舎から出版している。
そして、レイプ事件捜査のもみ消しについても、官邸人脈が深く関わっていることが取りざたされてきた。山口氏に対して準強姦罪での逮捕状が出されたにもかかわらず、直前で捜査が警察幹部の命令によりストップしたことが判明しているが、その異例の介入命令をした警視庁の当時刑事部長である中村格氏は、菅義偉官房長官の秘書官を務めたこともある子飼い警察官僚。さらにこの事件について「週刊新潮」(新潮社)から取材を受けた山口氏は、安倍首相の最側近として知られる内閣情報調査室(内調)のトップの北村滋内閣情報官に、それを相談していた事実まで浮上している。
また、山口氏は事件を引き起こす直前、「週刊文春」(文藝春秋)に「韓国軍にベトナム人慰安婦がいた!」とするレポートを発表しているが、これも官邸や駐米公使と連携して安倍政権の対韓国外交をアシストするために仕掛けたものであると「週刊新潮」が報道、レイプ事件もみ消しはその見返りではないかという見方まで流れた。
そういう意味では、安倍首相本人に直接この事件を問いただすのは当然とも言えるが、それを実行に移したのは、今回の福島氏が初めて。しかし、案の定というべきか、安倍首相は「知らぬ存ぜぬ」を決め込んだ。実際、「『総理』という本を書いたジャーナリストを知っているか、面識はあるか」という質問に対して、安倍首相は「取材対象として知っている」としか言わなかったのだ。
取材対象どころでない安倍首相と山口氏の濃密な付き合い
山口氏と安倍首相の関係が「取材者と被取材者」というようなものでないことは、それこそ山口氏の著書『総理』を見れば明らかではないか。そもそも、執務室での写真をジャーナリストに使わせることも異例だが、中身を読んでも、山口氏が安倍氏の自宅や外遊先のホテルの客室にもしょっちゅう出入りするシーン、第一次政権崩壊後の2008年から安倍や昭恵夫人と定期的に登山をしていたエピソード、さらには、内閣人事案や消費税をめぐってメッセンジャー的な役割まで果たしていたことを、山口氏自らが自慢げに語っている。それを「取材対象として知っている」とは、開いた口がふさがらない。
事件についても同様だ。福島氏がレイプ事件ということを配慮して、山口氏や被害者である伊藤詩織氏の名前などは出すことがなかったため、安倍首相はそれを逆手にとる形で、「それはどういう案件ですか?」などとおとぼけ。「いずれにせよ個別の事案について総理大臣としてお答えすることは差し控える」と事件そのものを認識しているかどうかさえ答えることはなかった。
こうした姿勢は安倍首相だけではない。1日の法務委員会でも、民進党の柚木道義議員が質問に立ち、逮捕状執行停止命令を出していた中村刑事部長(当時)や、責任者である国家公安委員長に国会での証言を求めたが実現しないこと、さらにレイプ事件の捜査プロセスと、山口氏を不起訴にした検察審査会の公正性について質問した。
しかし自民党の平口洋委員長は「一般人の個別の案件にして議論するのは控えていただきたい」と質問を遮り、審議をストップさせている。
柚木議員はこれに対し「山口さんだけ特別なんですか? 安倍さんのお友だちだからですか? 他の委員会では(一般人の個別案件も)認めている。開かれた司法なんじゃないですか安倍政権は?」と抗議するも、「一般私人の個人名をあげることは」と委員長に拒否される場面もあった。
その後も柚木議員は「なぜ中村格刑事部長は逮捕直前に停止命令を出したのか不透明極まりない」「(山口氏を)不起訴にした検察審査会の審議経過がブラックボックス」「森、加計問題に加え、山口レイプ事件は“隠蔽3点セット”だ」「(捜査中止を)総理に相談報告したのか」など安倍首相の関与についても追及。しかし「個別の事件捜査にあたって総理に相談することはない」などの木で鼻をくくったような官僚答弁に終始した。
詩織さん準強姦事件のもみ消し問題で安倍首相が山口敬之氏との関係について嘘八百(リテラ)
伊藤詩織さんの山口敬之氏から受けた準強姦被害事件もみ消し問題について、野党議員を中心に詩織さんの準強姦被害事件の捜査や検察審査会の過程の妥当性について精査する超党派の会が連日ヒアリングを開き、国会の予算委員会で福島みずほ議員が、法務委員会では柚木道義議員が、安倍首相に中村格元警察庁本部長や公安委員長を証人喚問したが何故国会に来ないのか?また詩織さん準強姦事件での執行前の逮捕中止や準強姦事件の捜査の過程や山口氏を不起訴とした検察審査会の公平性について、具体的には検察審査会で被害者の伊藤詩織さんが意見陳述すべく用意していたが呼ばれなかったのは何故か?検察審査会での審査を記述した記録を開示請求したが期限になっても開示されなかったのは何故か?検察審査会での男女比が不公平だったのは何故か?まで踏み込んで質問した。
しかし安倍首相は、「個別の案件について答えることは控えたい」とし、自民党の平口洋委員長は「一般人の個別案件について議論することは控えていただきたい」と質問を遮り審議をストップさせている。
柚木議員はこれに対し「山口さんだけ特別ですか?安倍首相のお友達だからですか?他の委員会では一般人の個別案件も認められている。開かれた司法じゃないんですか、安倍政権は?」と、追及した。また与党に都合の良いように恣意的に利用されることが多いと批判の多い検察審査会を改善するために、山口氏を非起訴にした検察審査会の行政文書を開示すること、検察審査会において当事者の意見陳述権を確保すること、検察審査会は議決理由を当事者に開示すること、検察審査会を検証する第3者機関の設立を求めた。
また超党派の会でのヒアリングで、福島みずほ議員は「山口氏の逮捕を中村部長が執行停止した記録は残っているか?」と警察庁に追及した際、警察庁は山口氏の逮捕を中村部長が執行停止した決済書類などの記録が残っていることを認めた。
ここで問題なのは、安倍首相が山口氏との関係を「取材対象として知っている」としたこと。
山口敬之氏の著書「総理」では、山口氏が安倍首相の自宅や外遊中のホテルの一室をしょっちゅう出入りしているシーン、安倍首相や昭恵夫人と定期的に登山していること、内閣人事案や消費税をめぐってメッセンジャーの役割を果たしたことを山口氏自身が書いている。また第一次安倍政権の時に安倍内閣退陣をスクープしてジャーナリストとして名を売ったことなどが安倍首相との関係にあることは、安倍首相が2012年に自民党総裁に帰り咲いた際に菅官房長官が「山口氏の電話がなければ、今日と言う日はなかった」と言わしめたほど。
つまり安倍首相と山口敬之氏の関係は、取材の対象などではなく、かなりズブズブの関係と見たほうが良い。
実際、山口氏は詩織さんの準強姦被害事件について週刊新潮から取材を受けた際、安倍首相の側近の北村内閣情報官に相談メールを送っている。
これからは、伊藤詩織さんが山口氏を告訴する民事裁判が5日から開始し、超党派の会が中村部長が山口氏の逮捕を執行停止した決済書類などの記録を開示請求するなど、記録を開示精査して真相を明らかにする段階に入った。
ブラックボックスの扉が開かれるのは、これからだ。

にほんブログ村