○ 部屋の中
整理された室内。
高級桐タンス、クローゼット、鏡台な
どが並んでいる。
ドタドタと足音が聞こえ、部屋に入っ
てくる理恵(28歳)。
その後に続く卓也(30歳)。
理恵「だから言ったでしょ。もう我慢の限界」
クローゼットを開け、大きなバッグを
ふたつ取り出し、床に放り投げる。
卓也「お前、何言ってんだ」
理恵「ダメなのよ、もう何もかもダメなの」
タンスの中から衣類を出して、バッグ
の中に乱暴に詰めはじめる。
それを止めようとする卓也。
理恵「放してよ。邪魔しないで」
卓也「聞いてなかったぞ、こんなこと」
理恵「言ったら止めたでしょ。だから言わな
かったのよ」
鏡台の引き出しから化粧品や通帳など
を取り出しているが、急にその手を止
めて涙を拭う理恵。
理恵「私、お義母さんとやり直す自信ない」
卓也「何言ってんだ、お前!」
二人のあいだに流れる間。
店員「…いかがですか」
理恵「うん、洋服もたっぷり入るし、クロー
ゼットもタンスもスッと開くし、いい感じ
よね。候補に入れるわ」
店員「ありがとうございます。では次を…」
高級家具売場を案内される理恵。
その後をうなだれてついていく卓也。
卓也「…俺たち、結婚もまだなんだぞ」
終