世界初、電気使わず振動エネルギーを回生して利用 鹿島開発の制振装置

森 英寿

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

 

世界初、電気使わず振動エネルギーを回生して利用 鹿島開発の制振装置 | 日経クロステック(xTECH)

 

 

 

HiDAX-Reの外観(写真:鹿島)

 

HiDAX-Reの外観(写真:鹿島)

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 鹿島は、電気制御していた回生システムを、電気を用いないシステムに変更した建物制振用オイルダンパー「HiDAX-Re(Revolution and Ecology)」を開発し、2025年10月27日に発表した。設計上、電源の停止による制振性能の低下を考慮する必要がなくなり、構造を合理化できるという。

 

 

HiDAX-Reの内部構造(出所:鹿島)

 

HiDAX-Reの内部構造(出所:鹿島)

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 HiDAX-Reは振動エネルギー回生システム「VERS(Vibration Energy Recovery System)」を搭載している。VERSは建物の振動エネルギーを利用して、オイルダンパーの制振効率を高める機構だ。従来は制振装置に蓄えられたエネルギーを一気に熱へと変換して吸収していた。その際、VERSは制御弁のコントロールによってエネルギーの一部を補助タンクに圧力として回収する。回収したエネルギーをオイルダンパーの抵抗力のアシストに利用することで、トータルのエネルギー吸収量を増大させる。

 

 

 

HiDAX-Reの動作プロセス(出所:鹿島)

HiDAX-Reの動作プロセス(出所:鹿島)

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 HiDAX-Reに搭載したVERSでは、補助タンクに生じる内圧の変動を利用して制御弁をコントロールする。油圧回路の途中に蓄えられた圧力なども利用し、バルブが駆動するようにした。制振オイルダンパーのVERSを、電気を用いずに制御するのは世界初だという。鹿島が15年に開発した前モデル「HiDAX-R(Revolution)」に搭載したVERSは、電磁制御弁を用いていた。電気を不要としたことで、HiDAX-Reの設置における電気工事や、ダンパーの監視機能を有するコントローラーも不要となった。


 

 

 

 

 

 HiDAX-Reの制振効率は、電磁制御弁を用いたHiDAX-Rと同等だという。鹿島製の一般的なオイルダンパーの約4倍だ。鹿島は、風揺れから震度7の大規模地震まで様々なレベルの揺れに制振効果を発揮するとしている。振動が繰り返すような長周期地震動や、ダンパーの荷重制限を超えないような頻発する地震の揺れに対して、他のダンパーよりも特に顕著な効果を示すという

 

 

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世界初の「エネルギー回生」ダンパー、鹿島が開発

 

 

自動車のブレーキ制御などで用いられているエネルギー回生システムの原理を応用し、制振ダンパーの性能を向上させる――。鹿島は7月27日、高性能オイルダンパー「HiDAX-R」を開発した発表した。

2015/07/28