平田晃久氏設計の「エアリスベース」 スロープで巡る、漫画を核とした図書館
山﨑 颯汰
日経クロステック/日経アーキテクチュア
平田晃久氏設計の「エアリスベース」 スロープで巡る、漫画を核とした図書館 | 日経クロステック(xTECH)
エアリスベースを南側上空から眺める。屋上に広がる庭園は誰でも立ち入ることができる。敷地東側には、利根川水系の大川の調節池がある(写真:浅田 美浩
群馬県太田市に、誰でも気軽に立ち寄れる新しい市立図書館が誕生した。老朽化した図書館の建て替えを機に、保健センターや行政窓口を備える複合拠点として建てられた新施設には、本との接点を増やす工夫が満載だ。
「ドラえもん」や「SLAM DUNK(スラムダンク)」、「タッチ」など世代を問わず読める漫画がずらりと並ぶ。健康診断や行政手続きのついでに立ち寄り、自由に漫画を読めるようにして、「また来たい」と思わせる──。
ここは群馬県太田市にある新たな図書館「エアリスベース」だ。2025年2月にオープンした。かつて太田市新田庁舎の駐車場があった敷地に、約22億7200万円をかけて建てられた。建物は2階建てで、延べ面積は約4000m2。設計者は、21年に公募型プロポーザルで選ばれた平田晃久建築設計事務所(東京・港)だ

エアリスベースでは、CDやDVDを含めて約18万点を所蔵する。市内の主要図書館の1つで、最大の特色は「漫画」だ。約1万5000冊を擁し、県内の公立図書館としては最大規模となっている。
ただし開館後当面は、漫画を貸し出さないこととしている。「あくまで現地に足を運んで読んでもらうことを重視している」。こう話すのは群馬県太田市文化スポーツ部エアリスベースの川田智課長だ。「漫画を目的に訪れる人は思っていたよりも多く、週末の来館者は1000人を超える」と手応えを見せる。
開館からわずか7カ月で、来館者数は10万人を突破した。市民を中心に、県外から足を運ぶ人も多いという。旧図書館の年間来館者数が約8万人だったことを考慮すると、このままのペースで推移すれば旧図書館の2~3倍になる計算だ。
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