防犯と断熱の一挙両得
内窓で暑さ・寒さや侵入者に2重の備え、「先進的窓リノベ」は防犯改修に追い風
森 英寿 内窓で暑さ・寒さや侵入者に2重の備え、「先進的窓リノベ」は防犯改修に追い風 | 日経クロステック(xTECH)体感治安の悪化から、住宅開口部の防犯リフォームがにわかに活気づいている。LIXILやセコムは暑さや寒さをしのぐ断熱・遮熱効果を併せて示し、住宅の快適さと防犯の強化を同時に訴えかけるプロモーションを展開する。
LIXILは2025年6月27日から「暑さ・寒さ・泥棒・不安 入る隙なし」というコンセプトを掲げ、窓やドアのリフォームを消費者にアピールしている。内窓の設置や、窓や玄関ドアの交換で、快適な生活を妨げるあらゆる外的要因の侵入を抑制する。
内窓を設置するメリット。侵入を抑止する効果の他にも、ガラスそのものの性能や、外窓と内窓の間にできる空気層により、断熱など様々な効果が得られる(出所:LIXILの写真に日経クロステックが加筆)
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LIXILによれば、「匿名・流動型犯罪グループ(通称トクリュウ)」や闇バイトといった広域強盗事件の報道が24年秋から相次いだことで、同社の相談センターに防犯の強化手段について問い合わせが急増した。
24年10~12月の問い合わせ件数は同年7~9月に比べて約2.3倍も増えた。「防犯性能が高い窓ガラスに取り換えたい」といった具体的な要望も寄せられているという。
2024年の住宅への侵入窃盗では、半数以上で窓が侵入経路になっている。窓以外の開口部まで含めると全体の約9割を占める。防犯の決め手は開口部の強化といえる(出所:警察庁の資料を基に日経クロステックが作成)
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LIXILが新たなプロモーション戦略に乗り出した背景には、環境省が主導する「先進的窓リノベ2025事業」による追い風がある。断熱性能が高い窓やドアへのリフォームを重点的に補助する施策だ。内窓の設置や外窓の交換といった改修工事のうち、窓の熱貫流率(Uw)が1.9以下の条件を満たすものが対象になる。窓改修と同一の契約内なら、ドアの交換も対象になることがある。
防犯性能の向上と断熱効果などを同時に得られる開口部のリフォーム例。LIXILによれば、防犯面で特に有効な改修は窓シャッターの設置だ(出所:LIXILの資料を基に日経クロステックが作成)
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LIXILサッシ・ドア事業部商品戦略部プロモーション企画グループの高橋裕子氏は、「窓リノベの補助金で開口部のリフォーム実施者や検討者が増えている。それでもまだまだ一般的ではない」と話す。窓リフォームの勢いに弾みを付けるため、補助金につながる断熱性能を強調しつつも、これからは防犯性能の向上を訴求していくという
日経クロステック/日経アーキテクチュア