日産を率いるエスピノーサCEOは“崖っぷち”からの再建をはたせるか

日産のイバン・エスピノーサ社長兼最高経営責任者(CEO) Photo: Noriko Hayashi for WSJ
ウォール・ストリート・ジャーナル(米国)
Text by Rory Jones and Jason Douglas
日産のエスピノーサCEO、崖っぷちからの再建
ここ追浜にある日産の工場は、日本の戦後産業復興の象徴だった。1960年代に開設され、ロボット技術を導入した最初の自動車工場の1つで、日産が2010年に先駆的な量産型電気自動車(EV)「リーフ」の製造を開始した場所でもある。
今後2年間で、日産の社長兼最高経営責任者(CEO)であるイバン・エスピノーサ氏はこの工場を閉鎖する。約3万人が住み、何世代にもわたって誇りを持って小学生を工場見学に送り出してきた町を空洞化させることになる
資金繰りに苦しみ、経営の失策で混乱している日産は、大手自動車メーカーの中で間違いなく最も暗い見通しに直面している。独立した自動車メーカーとしての将来は今や疑問視されている。
日産の救済は、46歳のメキシコ人で生え抜きのエスピノーサ氏の肩にかかっている。同氏は3月7日に日産が四半期として過去最大の損失を発表し、ホンダによる救済合併案が破談となり、前任者が解任された直後、CEO就任の打診を受けた。エスピノーサ氏は任務の重大さに