ロシアで根強い日本人気…観光ビザ求めて大行列 「日本アニメとのコラボ」も

ロシアで根強い日本人気…観光ビザ求めて大行列 「日本アニメとのコラボ」も(日テレNEWS NNN
ロシアのウクライナ侵攻後、冷え込む日露関係。ロシアは日本を“非友好国”と認定していて、国同士の対立は深まっている。一方で、ロシア国民の間に反日感情の高まりはみられず、「日本人気」は根強く残っている。モスクワで、その一端を垣間見た。 (NNNモスクワ支局長 平山晃一)
■モスクワの日本大使館には長蛇の列…「紅葉」目当てに日本観光へ
今月18日、モスクワの日本大使館前には午前9時半の開館時間前から長蛇の列ができていた。行列は100メートルから200メートル近く延びていて、警備員の姿もみられた。行列に並ぶロシア人の目的は、日本の観光ビザだ。こうした光景は春先にも見られた。春は「桜」、今後は「紅葉」を目当てに日本旅行を計画する人が多いようだ。
今、日本を訪れるロシア人観光客が急増している。日本政府観光局によると、今年1月から8月に日本を訪れたロシア人は10万8000人で、前の年と比べて倍増した。ウクライナ侵攻後、従来人気だったヨーロッパ各国は、制裁の一環で優遇措置を廃止。そのためビザ取得のハードルが高くなった。それに対し、日本のビザは取得しやすいことも背景にあるとみられる。 午前6時半から並んでいたという男性は、去年に続き2回目の日本旅行だという。「これからは紅葉の季節。また去年は雲に隠れてしまって富士山を見ることができなかったので、今回は必ず見たい」と笑顔を見せた。
また別の女性は「幼い頃から日本のアニメを見ていて、絶対に行こうと思っていた」「日本の伝統的なものに興味があり、相撲は絶対に見に行く」と意気込んでいた。その一方で「以前は行くことができていた旅行先に、今は行けなくなった」とも話していた。
■日本の人気アニメ・キャラクターが相次ぎファストフード店に
日本に関心があるロシア人の多くが、アニメを通じて日本に親近感を持ったと話す。今月17日、ロシアで営業を続けるバーガーキングが、日本の人気アニメ『進撃の巨人』とのコラボキャンペーンを始めた。 キャンペーン初日に店舗を訪れると、さっそくコラボ商品を購入した多くの客の姿がみられた。アニメの大ファンだという男性は「この作品の世界観が本当に大好き。好きなシリーズとコラボしたおいしい商品があるなら、買わない理由はない」と、グッズを手にして満足そうな表情を浮かべた。アニメにちなんだポーズも見せてくれた。また別の男性は日本のアニメについて「映像表現が好きだ。キャラクターに深みがあり、ストーリーも面白い」と話していた
『進撃の巨人』の権利元である講談社は取材に対し、正式にライセンス許諾をしたものだと明らかにした上で「許諾にあたっては、国・地域を問わず、作品の世界観や品質を担保できるか否かを精査したうえで、その都度判断しております」とコメントした。 ロシアでは今年7月にも、マクドナルドの後継店がピンク色のバンズが特徴的な「ハローキティ・バーガー」を発売し、話題になったばかりだ。
日本のキャラクター・キティちゃんなどサンリオキャラクターで店舗が装飾され、多くのお客さんがピンク色のハンバーガーを注文していた。2人組の女性客は「お気に入りのキャラクターなので、注文してみた」と話し、おいしそうに頬張っていた。
■冷え込み続く日露関係…“友好の象徴”は閉鎖に
一方で、日露関係の冷え込みは続いている。ロシア外務省のザハロワ報道官は18日、今月追加制裁を発表した日本政府に対し「非友好的な行動には、必ず対抗措置をとる」と強調した。 また、日本政府は今月、ロシア国内6か所にある「日本センター」の閉鎖を決めたと発表した。30年以上にわたり、日本語教育や日露経済協力の促進事業などを行っていて、両国の友好関係を象徴する施設だった。閉鎖の背景には、ロシア側による運営への圧力強化もあったとみられる。日露関係をめぐっては、改善の糸口が見えない厳しい状況が続いている