日本市況】日経平均一時初の4万5000円、小泉氏出馬で金利と円上昇

山中英典、アリス・フレンチ、日高正裕

 

 

The Tokyo Stock Exchange (TSE), operated by Japan Exchange Group Inc. (JPX), in Tokyo, Japan, on Friday, Feb. 16, 2024. Japanese stock prices are within sight of a historic peak reached during the nation’s economic heyday in 1989 as global investors return in droves.

The Tokyo Stock Exchange (TSE), operated by Japan Exchange Group Inc. (JPX), in Tokyo, Japan, on Friday, Feb. 16, 2024. Japanese stock prices are within sight of a historic peak reached during the nation’s economic heyday in 1989 as global investors return in droves.© Bloomberg

 

 

ブルームバーグ): 16日の日本市場では株式が4連騰して史上最高値を更新した。日経平均株価は節目の4万5000円台に一時初めて乗せた。人工知能(AI)や半導体関連への買い注文が米国市場に続いて優勢だった。小泉進次郎農相の自民党総裁選出馬を受けて金利と円が上昇した。

  株式は東証株価指数(TOPIX)も最高値を更新した。米利下げ観測が強まり、ハイテク株が多い米ナスダック総合株価指数が連日で高値を更新、日本でも半導体関連が上げた。米関税が引き下げられる自動車も高い。小泉氏出馬で日本銀行の早期利上げが連想されて債券が下落(金利は上昇)、円は対ドルで買われた

 

 

 

 

中央銀行ウイークが始まり、日本時間18日未明に結果が出る米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25ポイントの利下げを市場は確実視しており、追加利下げが焦点だ。19日に政策を公表する日銀は現状維持が見込まれている。自民党総裁選を含めて政治情勢が不安定な状況下では政策変更は難しいとの見方もある。

  野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは、生成AI市場拡大を背景に「半導体関連株を取り巻く環境は良好だ」と16日付リポートに記した。バリュエーション面でも半導体関連株の見直し余地は大きく、株価の上昇基調が続きそうだと予想した

 

 

株式

  東京株式相場は上昇、日経平均株価は一時4万5000円の節目を初めて超えた。日本の連休中の米国株が半導体やテクノロジー株を中心に堅調に推移したことが好感された。

  米ハイテク株高が追い風となり電気機器、精密機器や機械が高い。自動車も上昇。商社や素材など景気敏感業種も上げている。半面、銀行や不動産は軟調。

  大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、朝方はソフトバンクグループ株やアドバンテスト株など大型株の売りが日経平均の重しになる場面があったとした上で「マーケット全体では強い地合いが続いている」と指摘。欧米市場に続き、東京市場でも出遅れていた半導体製造装置関連の銘柄が買われ、最高値を追う相場でセクター内で割安な銘柄を物色する動きがあると分析した。

債券

  債券相場は下落。小泉氏が自民党総裁選に立候補する意向を表明し、日銀の早期利上げが連想された。17日の20年債入札に向けた売りも重しになっている。

  りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは、小泉氏の出馬発表に加えて、小林鷹之氏も日銀金融政策に関して逆風にならないとの見方で10月利上げの可能性が出てきたと指摘。「政治が不確実な状況であすの20年債入札に対して警戒が出ていることも相場の重しになった」とも述べた。

新発国債利回り(午後3時時点)

 2年債5年債10年債20年債30年債40年債 

 

 

 

為替

  円相場は1ドル=146円台後半まで上昇。小泉氏が自民党総裁選に出馬する意向を表明したことを受け、日銀が利上げをしやすくなるとの見方から円が買われた

 

 

ナショナルオーストラリア銀行(NAB)ストラテジストのロドリゴ・カトリル氏は、小泉氏の出馬は「日銀が政策正常化目標を早期に達成することを望む者にとって朗報だ」と指摘。円は今日のトップパフォーマーだと指摘する。

  SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、小泉氏出馬は予想されていたとして、朝方堅調だったドルを売る「口実にされた」との見方を示した。

  高市早苗前経済安全保障担当相が総裁選で勝てば利上げが困難になるとの見方については「これだけ物価が上がっている中で利上げ反対を続けるか疑問もあり、警戒されたほどハト派でない場合は145円台への円高もあり得る」と述べた。

  一方、みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、今週のFOMCは「警戒されているほどハト派にならずドルは反発する」と予想している。週内に「高市氏の立候補や会見が予想されることもあり、円は買いづらい」と指摘。今週の予想レンジは1ドル=145円50銭から150円とみている。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:堤健太郎、横山桃花、近藤雅岐.

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