広島駅2階を“トランジットモール”に、路面電車乗り入れで回遊性向上へ
広島駅南口広場(広島県)
大井 智子
ライター
広島駅2階を“トランジットモール”に、路面電車乗り入れで回遊性向上へ | 日経クロステック(xTECH)
JR広島駅の駅ビル2階に広島電鉄の路面電車が進入する。新路線「駅前大橋ルート」が2025年8月に開通した(写真:生田 将人)
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路面電車の軌道を見下ろす。軌道の右側に見えるのは、旧停留場。軌道左側は工事中の2階レベルの接続デッキ。事業全体は28年度末に完了する予定(写真:生田 将人)
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広島市がJR西日本、広島電鉄と連携して取り組む「広島駅南口広場の再整備等」事業の一環で、実現した。JR、路面電車、バスなど公共交通の乗り換えの利便性を高めるとともに、駅南口広場の歩行空間や滞留空間を拡充する狙いだ。
従来の駅前広場は、バス停が駅周辺に分散しており、朝晩のラッシュ時に広場入口で路面電車が渋滞していた。その他、休憩スペースが少なく、広島の玄関口としての魅力に乏しいといった複数の課題を抱えていた。
再整備前の広島駅南口広場。写真右下のカーブした屋根の下が路面電車の広島駅停留場。バス乗降場は駅前や周辺ビル近くに点在していた(写真:広島市)
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そこで再整備では、立体都市計画制度を活用。南口広場にあった路面電車の停留場を、JR改札と同じレベルの新駅ビル2階に移設し、駅周辺に点在していたバス乗降場を、1階の交通広場に集約する。
■事業前後の施設の範囲
平面図(出所:広島市の資料を基に日経クロステックが作成)
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公共用途のエリアは1、2階で合わせて従来の約1.4倍に拡大。さらに、都市計画道路の一部を交通広場などに変更し、都市計画決定して、JR西日本は駅前広場の自社用地の上に駅ビルを建設できた。
2025年8月に開通した広島電鉄の「駅前大橋ルート」の様子。広島駅の停留場は広島駅ビル2階にある(動画:生田 千夏
広島市民に親しまれてきた「路面電車」を生かし、新駅ビル2階に停留場を引き込む──。広島市、JR西日本、広島電鉄の3者で整備した、陸の玄関口の全貌が明らかになった。交通結節点の機能強化とともに、都心の魅力と回遊性の向上を目指す。
2025年8月に開通した、広島電鉄が運行する新路線「駅前大橋ルート」の停留場に多くの人が押し寄せた。お目当ては全国初となる路面電車の駅ビル2階への進入だ。路面電車は地上から勾配4%の軌道を経て、25年3月に開業した駅ビル2階に入る。